夫が養子に、妻はどうなる?(配偶者のいる者の養子縁組)
Contents
1.養子縁組契約
養子縁組は養親になる者と養子となる者の身分上の契約です。
たとえば、夫が養子縁組を結んだとしても、その妻が自動的に養子縁組を結ぶことにはなりません。個人の契約とはいえ、夫婦という特殊な関係性から発生する規律が存在します。
夫婦共同縁組とされる場合であっても、夫、妻それぞれが養親となる者との二組の養子縁組が、あるいは養子となる者との二組の養子縁組が生じることになります。夫婦各自が同一の者と養子縁組をすることになるわけです。
2.配偶者のある者が養親となる場合
(1)未成年者の養親となる場合
配偶者のある者が未成年を養子にするには、夫婦共同縁組でなければすることができません。(民法795条)
例外として、配偶者の嫡出の子を養子とする場合には他方の配偶者はこの子と単独で養子縁組を結ぶことができます。この場合でも、養子とする子の親である配偶者の同意は必要です。(民法796条)
また、夫婦の片方の配偶者が意思表示ができない場合にも、例外として共同縁組でなく、単独縁組によることになります。
なお、未成年者を養子とするには裁判所の許可が必要ですが、自分または配偶者の直系卑属(子や孫)を養子とする場合には許可は不要です。(民法798条)
*養子の子が15歳未満の場合
15歳未満の子の養子となる意思表示はその子の法定代理人等が縁組の代諾をするとともに同意をすることになる。(民法797条)
(2)成年者の養親となる場合
配偶者のある者が成年者を養子とする場合は、配偶者の同意の下に単独で養親となる縁組(単独縁組)をすることができます。配偶者が意思表示のできない場合には、配偶者の同意は不要です。(民法796条)
この養子縁組により、同意した配偶者と養子との関係は一親等の姻族となります。
3.配偶者のある者が養子となる場合
配偶者のある者が養子となる場合は、その配偶者の同意を得る必要があります。その配偶者が意思を表示できない場合には同意を得る必要はありません。(民法796条)
3.まとめ
夫が養子として養子縁組を結んだとしても妻はその養子縁組にともない夫の養親の養子に当然なるということはありません。夫の養親の養子となるには妻も養子縁組を別に結ぶ必要があります。
なお、妻が婚姻時に夫の姓を選択している場合には、夫が養子縁組により養親の姓を名乗るのにともない妻は夫とともに養親の姓を名乗ることになります(夫婦同氏の優先)。氏は養親と同じですが、妻は養親子関係にはありません。(民法810条、戸籍法20条)
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私の妻が私の母と養子縁組したとしても、私が死んで私の資産を妻が相続する場合は配偶者控除の1億6000万円は適用になるのでしょうか?よろしくお願い申し上げます。
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一般論で言えば、奥さんがお母さんの養子であることと、相澤さんの配偶者であることとは別個の身分事項であると考えます。
ご返事が遅くなりました。