遺言書の「相続させる」と「遺贈する」とはどう違う
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1.遺贈と遺産分割方法の指定
「相続させる」という遺言についてのお話しを前回いたしました。。
どちらでもよさそうなものだと思うのですが、法律の観点からは「遺贈する」(遺贈)と「相続させる」(遺産分割方法の指定)とはまったく違うものとして扱われています。
2.遺贈と遺産分割方法の指定
(1)財産を残す相手の範囲
遺贈:遺贈された人(受遺者)は遺言した人の死亡した後いつでも遺贈された財産を断ることができる。(民法986条 遺贈の放棄)
遺産分割方法の指定:相続そのものを放棄しない限り、指定された財産を断ることができない。その手続きは家庭裁判所を通じてなされなければならないなど煩雑です。(民法938条 相続の放棄の方式)
(2)放棄方法
遺贈の相手:相手の限定はない。法定相続人である必要はない。
遺産分割方法の指定:法定相続人に限られる。
(3)登記手続
遺贈:受遺者(登録権利者)と相続人(登録義務者)との共同申請の必要がある。
遺産分割の指定:指定された法定相続人は単独で移転登記申請ができる。(昭和47年4月17日 民事局長通達)
(4)農地の取扱
遺贈:所有権移転に農業委員会の許可が必要となる。(農地法3条1項柱書 農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
遺産分割の指定:農業委員会の許可は不要となる。(農地法3条1項12号 農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
(5)登録免許税
遺贈と遺産分割方法の指定において存在した登録免許税の取扱い・税率の相違は平成15年の税制改正とともに消滅した。
3.まとめ
遺言書において「相続させる」とするか「遺贈する」とするかによって、その遺言の法律効果に違いが出てきます。遺言の意図が実現するように両者のことばの使い分けが必要です。
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