自宅の庭にお骨を埋めたい,散骨したい,納骨堂を建立したい
死者の葬送方法として法律で想定されているのは遺体の土葬,火葬後の骨を土中に埋蔵,焼骨を納骨堂に納めるという方法だけです。
自宅にお骨を置いている人もいます。遺品として骨壺が出てきたという話しも聞きます。火葬したお骨(焼骨)を自宅で供養することは明文の規定はありませんが,違法ではありません。
それでは自宅の庭にそのお骨を埋めて墓碑を建て供養することは違法ではないのでしょうか。それは「墓地、埋葬等に関する法律」により違法となります。「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」となっています。
庭への散骨は違法ではないのでしょうか。散骨自体は違法とまではいえないと思います。ただ,近隣住民の不快感,散骨による不動産価値の下落などの被害も考慮に入れる必要があります。
それ以前に刑法に言う「死体損壊等」の罪に問われる可能性があります。遺骨を粉末状態にすることが「遺骨を損壊」したことになるかどうか判断が難しいところです。手元供養と称して遺骨を加工してペンダントにするというようなことがおこなわれていますが,散骨も遺灰に加工するという点で手元供養と変わらないでしょう。
焼骨された遺骨には公衆衛生上の問題はないでしょう。亡くなった者を弔い・供養するために遺骨を加工したり,遺灰にしたりすることが「損壊」にあたるかどうかが問題となります。「国民の宗教的感情」に適合しているかどうかで判断するのが妥当ではないでしょうか。あなたはこのようなお骨への加工をどうお感じになりますか。
遺骨を粉砕して遺灰にすることが「遺骨損壊」にあたらないとしても,庭に散骨することは現在の国民の宗教感情からみても不適切だという感じがします。
蛇足になりますが,自宅の庭に納骨堂を建てそこに遺骨を納め供養することは違法ではありません。
「遺骨が遺骨でなくなる」ということはどういうことなのでしょうか。考え込んでしまいます。
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