ハンコについて再考する(印章と印影)

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1.ハンコ

 ハンコに関連した言葉は日常的にいろいろと使われています。
 実印,認め印,銀行印,三文判,シャチハタ印,印章,印鑑,印顆,印形,印影など。
 以前に「ハンコと印鑑は同じものだろうか(ハンコの基礎知識)」として投稿しました。

 読み返してみますと総花的な記述で整理されていないなと強く感じました。
 そこで、法令で使われる用語に絞り直して考えてみたいとおもいます。

2.印章と印影

ハンコまつわる言葉は大きく分けて印章と印影とになります。以下はこの定義にしたがって印章、印影の語を使います。

  意義
印章 木・象牙などの印材に名前などが刻印された物体。印顆(いんか)。
印影 印章に朱肉などをつけて紙面等に押した痕跡。印鑑あるいは印形(いんぎょう)

*なお、刑法において「印章とは、紙なり、木なりの物体の上に押された影跡(印影)を意味するのか、それとも水牛や象牙などに氏名その他を彫刻してある物体(印顆)を意味するのか、ということが争われている」(『口語刑法』2006年補訂版、ページ342)ようです。

3.印鑑登録

 市町村に印鑑登録するという意味は印章の印影を登録するという意味です。印章そのものを市町村に預けておくという意味では当然ありません。
 印鑑証明書は、印影が市町村にあらかじめ届け出ている印影(これを印鑑と称しています)と同一であることを証明する機能を有します。

 印鑑は印章の印影のことをいうのが原則ですが、印鑑が印章を指していると思われる例もあります。
 たとえば甲府市印鑑条例4条1項5号などはどう読んでも印鑑を印章と想定した上で書いているとしか思えません。

  「第4条 市長は、前条に規定する登録の申請に係る印鑑が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該登録の申請を受理しないものとする。
   ----------------------------- 略 ----------------------------------
   (5) 印影を鮮明に表しにくいもの
   ----------------------------  略 -------------------------------」

4.まとめ

 印章と印影の語を使って理解するとハンコにまつわる多義的な使い方は処理できるとおもいます。

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神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
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