遺言に遺言執行者をつけるメリットはどこにあるのでしょうか。

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1.遺言の執行と遺言執行者の関係

遺言執行者にしかできない遺言事項は「遺言書作成で遺言執行者を指定しなかった場合はどうなるの。」で説明をしたようにかなり限られたものです。
遺言執行者のみにその手続が認められてい事項を再掲すると次の4項目だけです。

①認知(民法781条2項,戸籍法64条)
②推定相続人の廃除(民法893条)
③推定相続人の廃除取消し(民法894条2項)
④一般財団法人の設立行為(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条2項,157条)

れ以外は,遺言書に従い相続する人に財産を実際に移す作業は相続人自身でも可能です。

2.遺言執行者おこなう遺言執行のメリット

遺言執行者でなければできない遺言事項を除き,理論上・実務上遺言執行者が不要であることが多いです。
しかし,遺言執行者を指定することによって次のような効果がありますので,遺言執行者を指定することを勧める専門化が多いと思われます。

遺言執行者がいる方が手続がスムーズに行くことがあります。
②権利侵害があった場合には,権利侵害による処分は絶対的に無効の取扱いになりますので,遺言者を指定しておくことに十分メリットがあります。

3.遺言執行者をつけた場合のメリット具体例

遺言執行者がいなくても最終的には遺言の内容が実現されるとしても,遺言執行者がいた方がすぐれていると思われる具体的な例をいくつか挙げてみたいと思います。

(1)不動産を法定相続人以外に遺贈する場合

①遺言執行者がいない場合には,法定相続人の協力が必要です。しかし,相続人が見ず知らずの人間にあげた不動産の登記手続などは馬鹿馬鹿しくて協力する気になれないのが人情でしょう。協力が得られないとなると裁判をおこなわなければならなくなります。手間とお金がかかります。

しかし,遺言執行者いる場合には,遺言執行者が登記義務者となって遺贈の手続を行うことができます

②相続人によって第三者に不当に譲渡がおこなわれた場合,遺言執行者がいなければ,「無権利者である相続人からの譲受人」と「遺贈を受けた者(受遺者)」との所有権の対抗問題として処理されます。

しかし,遺言執行者が選任されている場合には,相続人によって勝手におこなわれた譲渡は「絶対的に無効」となります。

(2)預貯金や株式の相続・遺贈の場合

判例などにより遺言執行者は不要であるべきですが,銀行・証券会社によっては遺言執行者がいた方が預金の移動の手続がスムーズにおこなわれます。
銀行が預金の支払いに慎重になる理由のひとつとして,複数の遺言書がある可能性が捨てきれないためだといわれます。その点,遺言執行者がいることによった執行中の遺言書の信頼性が増すようです。

4.まとめ

遺言執行者は遺言があった場合に必要となるわけですから,遺言がおこなわれていない相続では遺言執行の問題は生じません。遺言がない場合には法定相続人が遺産分割協議をおこなうことになります。

遺言執行者がいない場合でも,遺言の内容によっては遺言執行者がいなくても,とくに不都合が生じることはありません。
しかし内容によっては,遺言執行者がいることによって,遺言の執行がスムーズにいったり,場合によっては権利の帰属において優劣がでることもあります。

遺言執行者の指定をどうするかについては,遺言書の内容により必ず必要になる場合もありますし,また,あったほうが都合がよいということもあります。遺言の内容によって決めるのが合理的ではないかと思われます。

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投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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