遺言執行者は遺言によっても,遺言によらなくても決めることができます。
前回の「遺言書作成で遺言執行者を指定しなかった場合はどうなるの。」の続きです。
遺言事項には
①遺言執行者でなければできない遺言事項
②遺言執行者がいない場合でも相続人全員が共同して執行できる遺言事項
③死亡と同時に遺言事項が確定される出来事
があることを,前回はみました。
今回は,遺言執行者をどのように決めるかをみていきます。
Contents
1.遺言において遺言執行者に関することを決めておく場合(民法1006条)
遺言執行者の指定はひとりでも複数でもかまいません。また,指名された人,指名を委託された人は相続発生時にその仕事を断ることもできます。
遺言執行者は法人(会社など)でもかまいません。
遺言執行者に,実務では相続人,受遺者も指定されています。未成年者と破産者は遺言執行者にはなれません。
(1)遺言者が遺言執行者を指定
遺言者が直接遺言執行者を指名する方法です。
(2)遺言者が遺言執行者の指定を他の人に委任
遺言者が「遺言執行者を指名する人」を指名するという二段構えの方法です。
2.家庭裁判所による選任(民法1010条)
遺言によって遺言執行者に関することが決めていない場合,決めてあったが指名・指定された人が断った場合などでは,家庭裁判所が選ぶことになります。
申立人は利害関係者です。利害関係者とは,相続人,受遺者,それらの者の債権者,不在者財産管理人,相続債権者,相続財産管理人などのことをいいます。
実務では,遺言執行者候補者を選任の申立時に申立人が推薦をし,特別の事情がなければその候補者を家庭裁判所が遺言執行者に選任します。
家庭裁判所に遺言執行者の選任を請求できる場合は次の場合です。
(1)遺言執行者が必要的な場合
認知,推定相続人の廃除,推定相続人の廃除の取消しなどの遺言事項がある場合には遺言執行者がいなければ遺言の執行ができません。遺言執行者は必ず必要です。
(2)遺言執行者が任意的な場合
遺言執行者がいなくても相続人全員が共同すれば手続ができる遺言事項であっても,利害関係人の希望にしたがって遺言執行者の選任を請求することが可能です。
当然ではありますが,遺言の内容が遺言執行者の手続が不要である場合には,家庭裁判所への遺言執行者選任の請求はできません。
3.まとめ
①遺言事項が遺言執行者でなければその手続ができない事項を含んでいるにもかかわらず,遺言執行者に関することが遺言になかったとしても,利害関係者が遺言執行者の選任を家庭裁判所に申し出ることができます。
②遺言執行者がいなくても執行できる遺言事項であっても,遺言内容の執行に好都合であると考えるのであれば,利害関係者が遺言執行者の選任を家庭裁判所に申し出ることがやはり可能です。
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