夫がなくなりますと妻の戸籍,姓,婚家の関係が問題となります。また,妻の戸籍,姓,婚家の関係が変化すると,子どもの戸籍,氏,祖父母との関係にも影響が出てくる場合もあります。そうした点を眺めてみます。この後の表記として混乱を招くおそれがあるときには妻をW,子どもをCと表示します。なお,ここでは妻が結婚するときに姓を変えた設定にしていますが,夫が結婚したときに姓を変えている場合は妻の部分を夫と読み替えてください。

1.夫死亡後の妻子の戸籍

夫が死亡しても戸籍は夫を筆頭者とする戸籍に妻と子がそのまま残ります。夫が健在だったときとかわりがありません。ただし,夫は死亡により除籍されています。

夫死亡後の妻の手続として「復氏届」と「姻族関係終了届」の二つがあります。いずれの手続も本人が望む場合に限りますので,手続をしてもしなくてもかまいません。また,片方だけの手続だけをおこなってもかまいません。

2.復氏届(民法751条1項,戸籍法95条)

結婚する前の姓に戻すことを復氏といいます。夫と死別した妻はいつでも好きなときに結婚前の姓に戻すことができます。また,戻さなくても自由です。

妻が復氏の届を出しますと,妻は夫の戸籍を抜けることになります。妻が戸籍を抜けても子どもはその戸籍に残ります。夫と妻が除籍された戸籍に子どもだけが残っていることになります。

復氏届の子に与える影響

子は母親と違う姓を名乗ることになります。これでは不都合だということであれば,家庭裁判所に氏のの変更の許可をもらった上で復氏した母の戸籍に入籍することになります。子どもが親と同一の姓を名乗るためには二段階の手続が必要になるわけです。氏の変更手続き,入籍手続の二段階です。

子どもは母であるWと違って戻るべき戸籍はありません。あるのは,生まれたときに入籍した現在の戸籍だけだというところから二段階の手続が必要となっています。

3.姻族関係終了届(民法728条2項,戸籍法96条)

婚家と縁を切ることを姻族関係終了させるといいます。これにより,義理の親子関係(嫁と舅・姑)関係もなくなります。当然,扶養義務もなくなることになります。これは同居・別居とは関係ありません。元嫁と元舅・元姑が同居していることも起きえます。この同居は他人同士がたまたま同居しているのと法律関係としては同じです。

妻の姻族関係終了と子ども

母であるWが姻族関係終了の届を出したとしても,子であるCと祖父母(Wからみて元舅・姑)の関係は直系血族のままです。祖父母から見たCは息子のかわいい孫であることにかわりはありません。

4.まとめ

夫を失った妻の氏と姻族関係は次の4パターンが成立します。

パターン 姻族関係
維持 変更なし
維持 復氏
終了 変更なし
終了 復氏

パターンⅠは姻族関係をそのまま維持するとともに,氏(姓)もそのままにする。というように4つのいずれかを生存配偶書は選ぶことができます。いつでも生存配偶者が一方的にすることができます。妻の姻族の方から申し出ることはできません
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jinguuji神宮司行政書士事務所所長

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