行政書士の賠償責任補償制度(成年後見人の賠償保険を中心として)

後見人になったが為に,認知症の人の賠償金を払わされて破産?」という記事を過日投稿しました。

読まれた方から「行政書士の保険ではカバーできないのでしょうか?身内なら家族では入れる賠償責任保険でカバーしては?」という当然の疑問が寄せられました。
また,「法務省等が推進している市民後見にはこんな危険も存在します。」というご意見も頂戴いたしました。

個人の日常生活の賠償保険は業務上での賠償保険とは補償範囲が違います。業務上の賠償保険の個人を対象に引き受けている損害保険会社があるかは不明です。また,あったとしても保険料が高額になるのではないかと思います。
賠償責任保険については次のサイトなどを参考にして下さい。ウキペディア 賠償責任保険

Contents

ここでは,行政書士に関連する賠償保険制度についてご説明をいたします。

1.行政書士賠償責任補償制度(行政書士賠償責任保険)

行政書士の業務の実施にともなって相手に与えた損害についての賠償をおこなうための保険です。

「行政書士,補助者およびその他使用人が,日本国内において行政書士の業務を遂行するにあたったり,職業上相当な注意を用いなかったことに基づいてなされた損害賠償請求について,行政書士が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を賠償する制度です。」(パンフレットから抜粋)

保険の契約者は日本行政書士会連合会で,希望の行政書士が任意に加入するものです。
引受け保険会社は損害保険ジャパン日本興亜株式会社(幹事保険会社)です。

この賠償責任保険に加入している行政書士に行政書士としての業務を依頼した場合には,加入保険金額の範囲であれば,その行政書士の財産の多寡にかかわらず賠償を受けることができます

2.成年後見賠償責任補償制度(業務過誤賠償責任保険成年後見制度特約)

成年後見をするにあたって引き起こした損害の賠償をするための保険です。

「その業務遂行に起因して被保険者が法律上の賠償責任を負い,-中略ー法律上支払わなければならない賠償金を保険金額の(補償限度額)の範囲内でお支払いする」(パンフレットから抜粋)
成年後見賠償責任補償制度について(パンフレット)
保険に関する約款

日本行政書士会連合会が中心になって「一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター」を設立しました。
成年後見の業務は行政書士の業務に該当しないために,さきに紹介した行政書士賠償責任保険の対象外ではありません。そのために,設けられた賠償責任補償制度です。

保険の契約者は日本行政書士会連合会で,一般社団法人コスモス成年後見サポートセンターに所属する会員全員に強制加入が義務づけられています。
引受け保険会社は損害保険ジャパン日本興亜株式会社(幹事保険会社)です。

3.成年後見人の責任と賠償保険

後見人になったが為に,認知症の人の賠償金を払わされて破産?」の投稿で書きましたとおり,
①被後見人に対する責任
②被後見人が損害を与えた第三者への責任
が後見人が負担しなければならない主な賠償責任です。

日本行政書士会連合会の成年後見賠償責任補償制度は①②のいずれについても賠償範囲としています。

(注)②につきまして平成26年9月8日,代理店に問合せをいたしました。はっきりしなかったため引受け保険会社に直接問合せをおこない,平成26年9月9日に回答をいただきました。主として①を想定しているが,②を排除してはいないとのことでした。

4.まとめ

行政書士に業務を依頼する時には,行政書士賠償責任保険の加入の有無を確認する。
行政書士を後見人候補者にしたり,行政書士と任意後見契約を結ぶ場合には一般社団法人コスモス成年後見サポートセンターの会員(社員)になっているか確認をする。(会員は成年後見賠償責任補償制度に強制加入です)

賠償責任保険に加入している場合には,その行政書士の財産の多寡にかかわらず賠償金の支払いがその分確保されますので,依頼者はその点について安心できます。

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投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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