性転換にともなう,もうひとつの婚外子(非嫡出子)問題
婚外子(非嫡出子)の相続分が嫡出子の半分であるのは憲法違反であるとの最高裁判所の判決が出て話題になりました。
「嫡出子とは結婚中の男女の間に生まれた子供のことであり,婚外子(非嫡出子)は結婚していない男女の間に生まれた子である」という解説をお読みになったのではないでしょうか。
肉体的に女性だった人が性転換手術を受け男性の戸籍を得ることができるようになりました(男性だった人が女性にということもあります)。「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」により性別が女性から男性に変わったと見なされます。
性転換手術を受けた元女性は戸籍上も男性になりますから女性と結婚をすることができます。肉体の外形では女性の特徴を失い男性の疑似特徴を得たとしても生殖機能は獲得できません。生殖機能はなく,子をつくることはできません。
結婚相手の女性が夫以外の精子を使った人工授精で子を得ることが可能になっています。ここに生まれた子供はこの夫婦の実子となるのでしょうか。結婚中の男女の間に生まれた子であるから嫡出子であるというのが素直な解釈ではないかと思います。
しかし,法務省の解釈,家庭裁判所の判断は嫡出子ではないというものです。「生物学的に親子関係が認められない」というのが理由です。結婚をしている男女から生まれた子は夫のこと推定するという民法の規定がありますが,生物学的に妻を妊娠させることが不可能であるからそういう推定は無意味だということでしょうか。
法律的には特別養子の制度を利用することによって解決できるようですが,自分たちの実の子(嫡出子)であるということを戸籍上も認めて欲しいというのが性転換後に結婚をした夫婦たちの切実な望みであり,裁判が起こされています。
法的には,男性の場合は生物学的親子関係がある人が父となります(ただし,保存精子による男性の死後受胎については親子関係を否定しています)。また,女性の場合は子を出産した人が母であると考えられています。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060904164054.pdf (男性の場合)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070323165157.pdf (女性の場合)
たとえば,野田聖子さんの子は自らが出産したので自分の卵子ではないので生物学的な血縁はありませんが実子扱いです。一方,向井亜紀さんは自分の卵子を夫の精子で受精させているので生物学的には夫婦の子です。しかし出産したのは別の女性であるために他人の子扱いです。
家族とはなにか,親子とはなにか考えさせられます。
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