成年後見人の役割は本人の財産を減らさないことでしょうか。
先日,相談支援専門員という方からの次のような投稿記事をインターネット上で目にしました。
昨年母親が亡くなり高額の遺産を引き継いだ(現在も分割協議中)ことで、日常生活自立支援事業の支援で後見人がつきました。
後見人は「私の役割は本人の財産を減らさないことにある。分割協議が完了したら、その時点からの生活保護費を返し、以後遺産には手を付けずに、障害年金だけで暮らしてもらう。そのためには今の生活水準は無理だ。このままだとみんなに迷惑をかける。だからグループホームだ」と本人に伝えています。
本人はGHに入ることが嫌なこと、後見人が自分の話を聞いてくれないことで、後見人に対してストレスを抱えています。1週間に一度の訪問に多大なストレスを感じ、身体症状も現れています。
http://www.wel.ne.jp/bbs/article/195619.html
これが事実だとするとこの成年後見人の見解では後見人の財産に関する後見の役割は「本人の財産を減らさないこと」だということになります。これでは子供が親の財産を減らしたくないがために,親に経済的余裕があるのに最低限の生活しか親にさせない子供と変わらないことになってしまいます。本人の幸せのための後見人ではなく,相続人のための後見人に化してしまいます。
成年後見人の役割は「本人の幸せのために」がすべてです。今回投稿があった事例では本人の現在の家に住み続けたいという要望を、「ここ(現在の家)にいたいというのは本人のわがまま。」と断定してしまうのは少し乱暴です。
本人の要望にはできる限り応えてあげようと努力するのが後見人の姿勢だと思います。経済的にまた肉体的に無理であればできる範囲で本人を説得して納得させる努力がまた必要です。「財産を減らさない」ことは後見の本旨にはなりえません。
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