内縁関係の関係解消,死亡による関係解消時の財産分与
男女のいずれにも配偶書がおらずに同居生活をしているが,結婚していない男女を内縁の夫婦と呼びます。
内縁関係の夫婦が死亡した場合に残された者は亡くなった相手の財産を相続できないというのはよく知られているようです。どんなに愛し合っていても,どんな法律婚をしている夫婦より夫婦らしくあっても婚姻届を出していないというそのことだけで相続について法の保護が受けられません。
それでは,一時は良好で合った関係が悪化して同居生活を解消するとともに内縁関係も解消するときはどうでしょうか。男性が仕事に出て収入を得ていて,女性の家庭で内助の功もありその家庭の財産が形成されたという場合で考えてみましょう。
その名義のいかんにかかわらず,女性の側はともに協力して築いた財産だとしてその分割を男性側に要求しても不思議ではありません。このことは法律婚の夫婦であろうが,内縁の夫婦であろうが変わりません。法律婚の夫婦同様,内縁関係の夫婦でも財産分与の請求は認められています。
翻って,生前に内縁の夫婦関係を解消したときには以上のような事情が認められるのであれば,死亡した場合にも同じ理屈がなぜ認められないのかと素直な疑問を持ちます。つまり,内縁の夫の相続人に対して,二人で築いてきた共同の財産なのだから自分の分を返してほしいと請求することも自然のような気がします。
最高裁判所はこれを認めていません(最高裁判所平成12年3月10日決定)。
私なりに理解すると以下のような理屈のようです。「離婚の時は財産分与を認めている。内縁関係の解消についても離婚時の財産分与に準じて認めることには問題はない。死別による場合は相続による財産継承の制度が準備されている。相続の場面で財産分与の請求を認めることは相続の趣旨にそぐわない。」
法律婚こそが配偶者の相続権を保障する源泉であると最高裁判所判断しているのでしょう。
⇒ 成年後見・任意後見のお問い合わせはこちらまで
お困り事や相続・遺言のご相談,各種許認可のお問い合わせは
こちら ⇒ 神宮司行政書士事務所
Contents
投稿者プロフィール
- 山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。
- 結婚・離婚2022年6月11日成人年齢十八歳に引き下げ
- 未分類2022年4月23日民法の能力って何?(法的能力と年齢)
- 成年後見2021年12月31日実印と印鑑登録証明書(何の「おまじない」)
- 戸籍2021年8月13日同一戸籍について考える(血族)