利用者の権利を保護する成年後見制度が逆に利用者の権利を奪っているという矛盾(職業上の欠格条項)
男性は14年から警備会社で人や車の誘導を行っていた。軽度の知的障害があり、昨年2月に後見制度を利用し、障害者支援団体に財産管理を任せるようになった。 しかし、勤務先から、警備業法の欠格条項で仕事を続けるのは無理と指摘され、失職した。会社側は「勤務態度も真面目で、辞めてほしくなかった」という。
情報源: 成年後見制度 欠格条項見直しは急務 :どうしん電子版(北海道新聞)
注意:年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(令和元年法律第37号。以下「整備法」といいます。)が令和元年6月14日に公布され、一部の規定を除き、公布の日から起算して3月を経過した日から施行されました。
したがって、2019年9月23日現在において「被後見人等の権利の制限」は廃止されています。
Contents
1.職業上の欠格条項
成年後見制度を利用していると就くことができない職業があります。
それに関連した法律が約180ほどあるようです。
たとえば私が登録している行政書士は、成年被後見人または被保佐人はその資格がありません。(行政書士法2条の2第1項2号)
また、今回取り上げた男性が従事していた警備員も成年後見制度の欠格条項があります。警備業を経営する場合は当然、その従業員である警備員も同様な欠格条項が規定されています。(警備業法第3条第1項1号、第14条(警備員の制限))
以前投稿した「法定後見を受けることによる社会生活上の不利益」の記事も参考にしてください。
2.成年後見制度利用者の業務推進能力
この男性は記事から推測するところ被保佐人の審判を受けたものと思われます。判断能力が著しく不十分と家庭裁判所によって認定されたということになります。(民法第11条)。被保佐人の審判を受けることにより、警備員としての業務に支障があると言い渡されたと同じ事になります。
しかし、被保佐人の審判を受ける前も後も警備員としての業務を問題なく遂行しています。警備員としての業務を被保佐人であることを理由に制限する必要は認められません。
この不合理さに疑問に感じ、憲法の定める職業選択の自由に違反するとして、国に損害賠償を求める訴訟を岐阜地裁に起こしています。
3.まとめ
知的障害や認知症などで成年後見制度を利用した人が職業の資格を失う「欠格条項」の不合理さを解決するために、資格取得に必要な能力は個別に判断するよう改善する方針が打ち出されています。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/387438/ (西日本新聞)
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