発見した遺言書の取扱いはどうしたらよいか
遺言書を見つけた人はどうしたらよいのでしょうか。細かい手続関係の話ですが,少し説明をいたします。
遺言書を見つけた人は家庭裁判所に提出する必要があります。遺言書が封筒に封印されてある場合は封印がされてあるまま提出しなければなりません。
提出する家庭裁判所は相続開始地または遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。提出する義務があるのは遺言者の保管者。保管者がいない場合は遺言書を発見した相続人が提出する義務があります。
遺言書を提出して家庭裁判所に検認をしてくれるように請求します。検認というのは遺言書の偽造変造を防止するための手続をいいます。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。また,相続人に遺言書の存在と内容を知らせる手続でもあります。
遺言書が開封されていても封印されていても検認の手続は必ず必要となります。検認の申立てにはすべての相続人がわかる戸籍謄本,住民票を添付します。
明らかに無効な遺言書でも家庭裁判所の検認を受ける必要があります。ただし,公正証書遺言については検認はいりません。
検認には検認の申立人,相続人,その他の利害関係人を立ち会わせます。立会はしなくてもかまいません。立ち会わなかった人には検認をした旨の通知がされます。検認手続には1,2ヶ月はかかります。
封印がされた遺言書の開封は検認の手続の中でおこなわれます。すべての相続人にたいして遺言書の開封・検認の期日を通知しますが,呼出しに応じなければ立会人なしでも開封ができることになっています。
検認の手続を取らないと以下のような不利益が生じます。
(1)遺言書にもとづく預金の引き出しはできません。
(2)遺言書にもとづく不動産の相続登記はできません。
(3)検認日に相続人が遺言書の無効を述べてそれが審問調書に記載されるとその遺言書にもとづく相続登記は受理されません。
検認が終了した遺言書は検認済の証明書をつけて申立人に返還されます。
遺言書を家庭裁判所に提出しない,検認を受けずに遺言を執行,家庭裁判所外で開封した人は5万円以下の過料を払わなければなりません。
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