成年後見制度は介護をする子供のための制度ではない
成年後見制度は誰のためにあるのでしょうか。当然成年後見人の支援を受ける本人のためにあることは明らかでしょう。本人を守り,支援する制度です。
ところが実際に成年後見の申立てをする段階になるとすっかりこのことを忘れてしまう人が多いのです。
具体的な例を見ていきましょう。
(1)子供が父親と同居するために自分名義の住宅資金融資の担保として父親の土地を使いたいので現在認知症の父の後見人になりたい。
(2)子供が認知症の母と今後同居するために自分名義の住宅を建てるに当たって母親の定期預金を解約して住宅資金の一部にあてたいので母親の後見人になりたい。
(3)母親が加入していた生命保険契約の死亡保険金の受取人がすでになくなった父親になっている。受取人を変更して長男の自分に変えたい。母親が現在認知症であるので母親の成年後見人になりたい。
いずれの例も親に判断能力があるときであれば特別の事情がなければ当たり前の処理かも知れません。しかし,本人の判断能力が失われた事情のもとでは支援を受ける本人にとって必ずしもメリットのあることではありません。
親と同居するための住宅といっても,支援を受ける本人にとって必ずしもその住宅が必要とはいえません。生命保険の死亡保険金受取人を長男にするというのは長男が自分の利益のためにのみする行為となってしまいます。
成年後見制度は支援を受ける本人のためのものですので,原則,成年後見人に利益を与える行為は認められますが,損害を与える行為は認められません。
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