長生きの危険と死亡することの危険
生命保険の業界では長生きすることを長生きの危険が増大すると表現する。死亡する危険というのはわかりやすいが,長寿が危険に結びつくとは考えづらい。そんなこともあって,若い頃にはこの事態の深刻さについては思いがいたらなかった。
孤独死として,今日のニュースではタレントの山口美枝さんの死を伝えた。やはり今日のニュースで2人孤立死として90歳代と60歳代の親子とみられる2人の死を伝えている。 孤独死とは看取るものがないなか亡くなることをいうようだ。孤立死とは社会的な関係を断ち切られたなかで孤立して孤独に亡くなること。そういった点から考えるとタレントの山口美枝さんのケースは孤独死,女性2人の死は孤立死となろう。
保険会社が主張するようにたしかに歳を重ねることは危険を増大させる側面もある。
まず肉体面に明らかに衰えが見え始める。視力・聴力の衰え。歯の脱落。などなど。精神的な面も肉体面からの影響もあり,気力・根気・集中力に多少問題が出てくる。
(1)銀行に行って預金を引き出す。支払の振り込みをする。集金をするなどの日常的な事務が大儀になる。食料品の買い出しなども同様である。
(2)問題なのは老後に備えた財産が悪意のある者によって,だまし取られてしまうことである。
悪徳商法の標的に高齢者がなっている。振り込め詐欺から始まって次から次へと高齢者の財産を狙って近づいてくる。悪徳商法から高齢者を守るためには,同居していつも高齢者の動向を見守っているのが一番よいが,勤務地の関係などにより同居することを実情が許さず,たまに親元に顔を出し様子を見るのが精一杯となる。
高齢者の身内でも安心できない。なかには,縁戚の高齢者の財産を自分の物にしようと近づいてくることもある。
まことに嘆かわしいことであるが,現実にこうしたことは起きている。
(1)の防衛策としては近所に住む信頼できる方と事務委任契約・任意後見契約を結び,生活の支援を依頼するということが考えられる。高齢者のご本人がほとんど生活が自立していて,少々の生活の援助があれば足りる。また,勤務先,勤務地,子供の通学などで同居が難しい場合には検討してもいいのではないだろうか。
(2)については,法定後見の申立をおこない,後見人等を裁判所に選定してもらうのが確実である。後見人等には悪徳商法による契約などを一方的に取り消すことも可能となる。後見人等までは必要がないというのであれば,一定の財産の管理・処分について事務委任契約,任意後見契約などを結ぶことも考えられる。
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