野良猫は狩猟法に従えば殺してもかまわないのか。
街中の猫は捕獲器で捕らえ、愛護法に則り、保健所へ。
野生化したものは狩猟者として狩猟法に則り、その場で始末して土に返しております。
引用元: 私は、独自に猫を駆除・殺処分しておりますが | mixiみんなの日記.
(閲覧注意:不快な写真があります)
この記事や写真を見て不愉快な気持ちになりました。
そこで,こんなことが許されるものなのか調べてみることにしました。
ここでは議論の対象を犬・猫に限定して話を進めます。
Contents
一 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
狩猟法の正式名称は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」です。
(1)狩猟法における狩猟の対象動物
狩猟できる鳥獣は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」の施行規則別表一で決められています。犬・猫については「ノイヌ」,「ノネコ」と記されています。
(2)ノイヌ・ノネコとはなにか
ノイヌ、ノネコは、元来は家畜だったものが野性化して山野に自生して野山にいるものをの野良犬,野良猫等と区分したものを言うようです。野良犬,野良猫とは違う概念だと説明されます。
この辺の詳しい議論は「第043回国会 農林水産委員会 第17号」をお読みになって下さい。
(3)狩猟法違反となる犬・猫の狩猟
犬・猫の狩猟が禁止されるのは以下のような場合です。
①ノイヌ、ノネコ以外の犬、猫の狩猟
②ノイヌ,ノネコの狩猟可能区域外,狩猟期間外などでの狩猟
(4)犬・猫狩猟に関する狩猟法の問題点
①ノイヌ・ノネコとそれ以外の犬・猫との区分が曖昧になりやすい。
引用した投稿では「野生化した」猫という表現を使っています。自生して野山にいる猫なのか,捨てられて野良猫となった猫なのか判然としません。ノネコなのかノネコでないのかも曖昧です。
②解体・加工した犬・猫は,ノイヌ・ノネコとそれ以外のものとの区別がさらに難しい。
最終的に胃の内蔵物などによって自生の有無を判定するしかないようですが,内蔵が捨てられてしまったり,毛皮になってしまっては判別はほとんど不能です。
引用した投稿でも毛皮にするなどの記載があります。こうなりますと区別は事実上不可能です。
二 動物の愛護及び管理に関する法律
動物愛護管理法の正式名称は「動物の愛護及び管理に関する法律」です。
(1)動物愛護管理法の犬・猫の取扱
犬,猫は愛護動物とされています。
(2)愛護動物の取扱
以下の行為に反することは禁じられています。違反した場合は罰則があります。(動物愛護管理法44条)
①愛護動物をみだりに殺したり傷つけたりしないこと。(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)
②愛護動物を適切に管理・飼養すること。(100万円以下の罰金)
③愛護動物を遺棄しないこと。(100万円以下の罰金)
三 まとめ
①狩猟法において犬,猫を狩猟の名目で殺したり傷つけたりすることが可能なのは,それがノイヌ,ノネコに該当する場合のみです。それ以外では狩猟の対象とすることはできません。
②動物愛護管理法においては犬,猫は愛護動物であり,殺したり傷つけることは禁止されています。
③野良猫はノネコには当たらず,狩猟法の狩猟対象ではない。したがって愛護動物としてみだりに殺したり傷つけることはできない。
しかし,「ノイヌ,ノネコ」と「それ以外の犬・猫」の区分が難しいため,この投稿者のような主張をする者が現れます。
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