『営業と詐欺のあいだ』を読んで,消費者問題を考えた。
『営業と詐欺坂のあいだ』,坂口孝則著,幻冬舎新書,2014年第4刷版(2008年出版)
Contents
1.営業と詐欺との違い
長い間営業の現場に身を置き,営業とは詐欺ではないのだろうかと自問自答をしてきた私には,この本の問いは魅力的でした。
読み終えたいまでも残念ながら,その答えを見いだすことができませんでした。
この著者も「営業と詐欺の違いはなんなのか」という問いにストレートな答えは持っていないように私には感じられました。「おわりに」という後書きにあたる部分に著者なりの答えが示されていますが,右に行ったり左に行ったりの表現が続いています。
哲学的とも思えるこの問いに答えることは一筋縄ではいきそうもありません。
2.営業話法について
この本には営業員が用いる手法が解説されています。
セールス,占い,ウエブ販売,悪質商法,マインド・コントロールと多岐にわたる営業手法が解説されています。非常に分かり易い具体的な解説になっています。
特殊詐欺については触れられていません。これは,著者がバイヤーとしての自分の経験に基づき,営業と詐欺について考えをめぐらせているからだと思われます。「振り込め詐欺」などについての著者の意見も聞いてみたい気もします。
3.撃退法
撃退法には特定商取引法,クーリング・オフ制度,消費者生活センターの利用などがあります。
著者が提案する「詐欺師にだまされないための心構え」ががすぐれていると思いますので,紹介をしておきます(p192)。
1 無料で商品を配るだけのビジネスモデルなどが存在するはずはない。
2 「絶対儲かる方法」などというものは存在しない。また,万が一あったとしても見知らぬ他人に教えるはずがない。
3 そんな簡単に幸せを与えてくれる第三者など存在するはずがない。すぐに手に入る幸福・愛など存在しない。
4 自分だけが特別な存在であるはずはない。だから「あなただけです」「一万人の中から選ばれました」等の言葉は信じてはいけない。
5 メリットがあると言うことは,その分リスクも内包している。
本の中にはありませんが,私が付け加えるとすれば
6 行動を起こす前に他の人の意見を聞くこと。
4.まとめ
営業と詐欺の違いの哲学的な議論は別として,だまされて嫌な思いをしないためには撃退法にあげた心構えを肝に銘じることが重要です。
また,だまされてしまったときには,特定商取引法,ク-リング・オフ制度,消費生活センターなどを利用して,出来るだけ早く対応することが大事です。
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