「終活」と「任意後見制度」
老後の生活を意義のあるものにする活動を「終活」というようです。就職活動の「就活」ではないのだそうです。若いときにできなかった趣味を始めるというのは定番で昔からあります。なかには,葬儀のときの遺影を用意するというのもあるようです。専門家にメークアップをしてもらい自分の好みのドレスに身を包み,写真家に撮影をしてもらいます。
「就活」とはいってみれば老後の生活設計ではないでしょうか。老後をどう生き,どう充実した時間にするのかを個々に自分自身で考えていこうということではないかと私なりに理解しています。先ほどの遺影の話しの方のように自分の葬儀の演出に生きがいを見いだす方がいても,それはその人の考え方だとは思います。
何に老後の生きがいを見いだすにしても,忘れて欲しくないのが自分の介護についての生活設計です。ぴんぴん生活していて突然にころりと亡くなる「ピンコロ」が生涯の終わり方の理想だといわれます。しかし,「ピンコロ」はまれなことです。たいがいの人は人生の終わりの「ひととき」は自力では生活ができずにだれかの手助けで生活を維持せざるを得ません。この「ひととき」が長期になるのかごく短期で終わるかの違いだけです。
人生最後のこの「ひととき」もあなたらしく生きることができたらどんなにすばらしいでしょうか。最後の「ひととき」の老い支度に役立つ制度として民法の特別法である「任意後見契約に関する法律」が制定されています。
この法律は,精神的にも・肉体的にも元気なうちに自力では生活が難しくなる最後の「ひととき」を自分らしいものにするために制定されたものです。自分に代わって自分の生活を自分好みに仕切ってくれる信頼できる人に前もってそのときの仕切りをお願いしておくという仕組みです。「任意後見契約」を信頼できる人と結ぶことによって人生の最終章の備えをおこなうことになります。
次回には「任意後見」と「法定後見」の関係についてみていきたいと思います。
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