自筆証書遺言のメリット・デメリット(保管・管理)
Contents
1.自筆証書の管理
(1)相続法制の見直し
本人が自ら書く「自筆証書遺言」について、法務局での保管を可能にする関連法改正原案をまとめた。公的機関で保管することで改ざんや紛失を防ぎ、争いを減らしていく狙いがある。
情報源: 遺言書、法務局で保管=改ざん・紛失を防止-配偶者に居住権・相続法制改正原案:時事ドットコム
法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会において、相続法制の見直しがすすめられています。
今回は、この見直しの一つ、自筆証書遺言書の保管について考えてみたいとおもいます。
(2)自筆証書遺言のメリット
手軽に遺言書の作成ができるということで、人気があります。最近の終活ブームもあり、「遺言書作成講座」も盛況のようです。
①費用がかからない。
②いつでも書ける。
③何回でも書き直しが可能。
(3)自筆証書遺言のデメリット
手軽さの反面、デメリットも当然あります。
①遺言書は書き方の様式が決まっていて、その様式にしたがっていないとせっかくの遺言書が無効になってしまうことがあります。
②手軽に遺言書の作成ができるために、何回も遺言書を作成する人もでてきます。それぞれの遺言書の有効性が問題視される場面も考えられ、せっかくの遺言書が紛争の火種になってしまうこともあります。
③遺言書の管理が頭痛の種になります。保管場所の選定、紛失や偽造の防止方法などに気を使います。
④相続発生時には、家庭裁判所による検認の手続が自筆証書遺言の場合には必要になります。これも相続人に手間の負担がかかります。
こうしたデメリットを避けるためには、公正証書遺言が適しています。専門家といわれる人に相談すると、公正証書遺言の利用を異口同音にすすめられます。
(4)自筆証書遺言の保管・管理
自筆証書遺言は書き方自体はそれほど難しいものではありません。複雑でないものは自分一人でも充分作成可能だとおもいます。
問題は作成した遺言書の管理です。
①保管場所をどうするか。
②管理をどうするか。管理方法は保管場所と密接に関係します。
知人に預ける。重要書類と一緒に手元に保管する。貸金庫に預ける。など、各自工夫をしているようです。
以前の投稿も参考にしてください。
「自筆による遺言書(自筆証書遺言書)の保管場所」
「貸金庫内を保管場所とした遺言書の行方」
2.まとめ
この原案どおりに法務局で自筆証書による遺言書を法務局で保管することが可能になるとすれば、自筆証書遺言の保管・管理の問題は解決することができます。保管の要する費用がどの程度になるかにもよりますが、自筆証書遺言が人気になるかもしれません。
この制度を利用する場合には、必ず推定相続人に「遺言書を書き、法務局に保管している」と伝えておいてください。そうしないと、せっかくの遺言は日の目を見ることなく終わってしまうかもしれません。
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