隠し子を除いて遺産相続は可能か(婚外子がいる場合の相続)前編
長くなりますので二回に分けます。
前編:非嫡出子をめぐる遺産相続の概要
後編:嫡出子から見た相続処理における非嫡出子(いわゆる隠し子)への対応
Contents
一 隠し子の法定相続分
非嫡出子(いわゆる隠し子)の相続分は嫡出子(結婚している夫婦の間に生まれた子)との法定相続分は現在は平等になっています。以前は非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分となっていました。戦後の非嫡出子の法定相続分の変遷は以下のとおりです。
1 平成13年6月30日以前に開始した相続における法定相続分
非嫡出子の相続分は嫡出子の半分です。
2 平成13年7月1日以降平成25年9月4日以前に開始した相続における法定相続分
①遺産分割が終了した相続
すでに確定した相続割合に変わりはありません。すでに確定したものを覆すことはできません。
②遺産分割がまだ終了していない相続
非嫡出子の法定相続分は嫡出子と同等となります。遺言がない場合にそれ以外の相続割合で相続するときは,遺産分割協議をする必要があります。
3 平成25年9月5日以降に開始した相続
非嫡出子の法定相続分は嫡出子の相続分と同等となります。遺言がない場合にそれ以外の相続割合で相続をするときには,遺産分割協議をする必要があります。
参考ブログ:相続に関係する法律の移り変わり
二 非嫡出子の遺留分
非嫡出子の遺留分の取扱は嫡出子の取扱と同様と考えられます。
参考ブログ:非嫡出子(婚外子)と嫡出子の法定相続分は平等,では,遺留分は。
三 非嫡出子と遺産分割
1 遺言書がない場合
遺言書がない場合には非嫡出子(いわゆる隠し子)も交えて,遺産分割協議をおこなう必要があります。もし,非嫡出子(いわゆる隠し子)を除いておこなわれた遺産分割は無効です。
2 遺言書がある場合
①自筆証書遺言の場合
遺言書が自筆証書遺言によっておこなわれた場合,家庭裁判所において検認の手続をする必要があります。公正証書による遺言の方式以外の遺言書についていずれの方式の遺言書も必ず検認を受ける必要があります。
検認手続においては,家庭裁判所から相続人全員宛に検認をおこなう日を通知します。当然,非嫡出子に対してもこの通知がなされます。
参考ブログ:遺言書の検認(遺言書が出てきたときの処理)
②公正証書遺言の場合
公正証書による遺言の場合には検認手続が必要ありません。したがって,遺言の内容にしたがって遺言で指定された人達だけで遺産の分割ができます。つまり,相続人全員がそろって遺産分割協議をしなければならないのは,普通は遺言書がない場合ということになります。
四 まとめ
ここまで,非嫡出子の相続関連事項を見てきました。次回は非嫡出子(いわゆる隠し子)に対する嫡出子家族の連絡の必要性の有無について考えていきたいと思います。
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