エンディングノートには遺言の効力はないのか(遺言としてのエンディングノート)
エンディングノートの遺言としての効力について調べてみると「エンディングノートには遺言としての効力はない」と書かれています。
本当に遺言の効力はないのでしょうか。考えてみました。
Contents
(1)自筆証書遺言の方式
遺言についてはその方式が厳格に法律で決められています。また,相続人を法的に拘束する遺言の項目も法律で決められています。その方式に従っていないものは遺言ではありません。また,そこに書かれている項目のうちで法律に決められていないものには,したがう必要はありません。
ここでは自筆証書遺言の方式を見ます。以下のとおりです。
①全文の自書
②日付の自書
③氏名の自書
④これに押印
⑤訂正,追加は法律で定められた方式によること
(2)エンディングノートとは
エンディングノートには決められた体裁もなく,決められた記載事項もありません。極論をすれば,市販のノートに日々の思いをつづったものであっても,本人が遠ディグノーとであるといえばエンディングノートです。
一般的には,親が亡くなったときに残された遺族が困らないように必要項目を書き残しておくものと理解されているようです。多くは次のような項目が用意されていて,そこに書き込むようになっています。
①自分の基本的な情報
本籍,転居履歴,職歴など
②資産
資産の状況,負債の状況(預金先,取引証券会社,口座自動引き落とし,不動産の登記簿謄本,保険契約先など)
③親戚,友人知人一覧(危篤,葬儀の連絡相手など)
④葬儀・埋葬
葬儀についての希望,墓地・菩提寺の有無など
⑤医療・介護
・かかりつけ医,持病,服用薬,治療歴,アレルギーなど
・延命治療(リビング・ウィル)・告知の希望など
・介護に対する希望など
(3)遺言書としての効果を持つエンディングノート
遺言書でもありエンディングノートでもあるというものが考えられるのではないでしょうか。
市販のノート一冊を用意して最終ページか最初のページかに自筆証書による遺言書を作成したのちに,残りの余白に前記のエンディングノートの項目内容を書き足します。
市販のエンディングノートを購入してきて,そこに用意された項目のうち必要なところを埋めた後ノートの扉に自筆証書による遺言書を作成することも考えられます。
遺言書というのはその方式さえ整っていれば広告の裏に書こうが,上質紙に書こうが立派に有効な遺言書となります。
(4)付言事項としてのエンディングノート
相続人を法的に拘束する遺言項目は決められています。それ以外の項目が遺言書に書かれていたときには付言事項として扱います。付言事項とは遺言を残す人の最後の希望事項と言うことです。遺言書とエンディングノートが一体となっていたときには,エンディングノートが遺言書における付言事項の役割を果たすことになります。
(5)まとめ
遺言の方式に従った部分があるエンディングノートは遺言として有効です。
遺言書を別につくるつもりであれば,エンディングノートには遺産の分け方などについ書くのは避けた方が賢明です。自分の意思を正しく遺言書に反映させるためにもエンディングノートとは別個に遺言書を作成することをお勧めします。
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