金持ちの子でも生活に困った親の面倒を見なくてもよいのか(扶養義務)。

 前回,「 扶養義務者である親族に多額の資産があっても,いかに高額の収入があっても,扶養する意思がなければ親族は扶養する必要はないわけです。」という風に書きましたが,本当にそうなのでしょうか。「扶養義務は生活保護に優先する」という意味について今回は見たいと思います。
1.優先の意味については二つの説があるようです。
(1)受給要件説
 扶養できる家族(扶養義務者)がいるときには,生活保護は受けられないとする考え方です。
(2)事実上の順位説
 扶養できる家族(扶養義務者)がいても扶養しないときは,生活保護は受けられるという考え方です。
2.生活保護法の立場
 生活法護法を読む限りでは受給要件説に立っているように思われます。その一つの根拠として生活保護法の第77条(費用の徴収)において,立て替えた費用を扶養義務者である家族から徴収できると決められています。
3.保護の補足性
 生活保護法は,多額の資産,収入がある扶養義務のある親族がいるときには生活保護をおこなわないと決めています。また,緊急の時にはいったん生活保護をおこないますが,後から本来扶養義務のある親族からかかった費用を取り立てるとも決めています。保護の補足性と呼ばれています。
4.まとめ
 生活保護法をそのまま忠実に執行すればお金持ちの子供が困っている親の面倒を見ないですんだり,困窮している兄弟姉妹の面倒を見ないですむわけはないという結論になります。
 現実の法律の運用はそうなっていません。今回の生活保護法の改正は,受給要件説の運用にできるだけ近づけたいという意図で受給申請の段階での手続を厳格にしたといえると思います。受給資格申請の水際作戦を強化して,受給を難しくしているという弁護士会などから批判が出ています。
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投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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