結婚契約(婚姻契約)の法律的な有効性には疑問があります。

 注:「結婚契約」は行政書士である安友千治氏の登録商標です。
 結婚契約といわれるものに興味を示す人がいるようです。我が県山梨でも地元紙が取り上げ,話題を提供しています。しかし,その契約の内容によって契約相手をどの程度拘束することができるのでしょうか。
(1)結婚契約の締結の時期による分類
 結婚契約といわれるものには,その契約の時期によって2種類あります。結婚をする前に契約をするものと,すでに結婚をしている者の間でなされる契約です。
(2)結婚後(婚姻中)に結ばれる結婚契約
 結婚後になされる契約については,「夫婦間でした契約は,婚姻中,いつでも,夫婦の一方からこれを取り消すことができる」民法(754条)で定めています。結婚後において契約で取り決められたことは,いつでもどちらかが撤回(取り消し)することができます。
 夫婦関係が破綻している夫婦間の契約は有効になりますので注意が必要です。たとえば,夫婦関係が破綻した中で離婚について話し合いがおこなわれて,離婚の時に自宅の土地建物を譲るというような契約は有効です。
(3)結婚前に結ばれる結婚契約
 結婚前に契約がなされた場合については,婚姻した夫婦間の契約ではありませんので,撤回できないということに一応なります。。
  しかし,結婚をすることによって,意味をなさない約束になるものが出てくるのではないかと思われます。「夫婦は同居し,互いに協力し扶助しなければならない」と民法(752条)では定めています。この趣旨に反する結婚契約の内容は,結婚を届け出た時点で撤回された,と考えることもできます。同居,協力及び扶養の義務についてのトラブルに関する判断は,家庭裁判所の調停・審判に任せられています。
(4)夫婦財産契約は結婚契約とは別もの
 結婚するまでに契約するものとして,「夫婦財産契約」というものがあります。夫婦財産契約というのは「結婚費用の分担」,「日常の家事に関する債務の連帯責任」,「夫婦間における財産の帰属」について法律で定めた内容(民法760条から762条)と異なる契約をするときには,婚姻の届出までに登記する必要があります。結婚契約とは別のものですのでご注意ください。
 夫婦財産契約はほとんど利用例がなく,廃止してもいいのではないかという意見も出ているようです。
(6)結婚契約のメリット,限界,具体例,雛形
 結婚契約がなされると離婚調停・離婚裁判において一つの証拠としての価値は持つでしょう。しかし,契約で決められた内容がそのまま法的な効力をもつとは限りません。
 インターネットで「婚姻契約」,「結婚契約」を検索すると,たくさんのホームページが表示されます。法的な効果には疑問があるとしても,婚前に,あるいは婚姻後に今後の家庭の姿について夫婦で話し合っておきたいというご希望であれば,有効かもしれません。ご参考にしてください。
 婚前の結婚契約書の雛形としてブログの中で発表されたものが目にとまりました。アドレスは以下のとおりです。この雛形について賛成しているわけではありませんし,疑問を感じる条項もあります。しかし,具体的なイメージを持ちやすいかなと思い紹介します。
 http://ameblo.jp/yakuwa-gyousyo/entry-11167459899.html 
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投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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