遺言信託と呼ばれるものは二種類あるのをご存じですか。
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1.二種類の遺言信託
遺言信託という名で呼ばれているものには二種類あります。そしてそれはまるで違うものを指しています。
ひとつは、信託銀行などが提供するサービス(金融商品)の名称としての遺言信託です。
もうひとつは、信託法が定める信託の設定の方法のひとつを指す名称としての遺言信託です。
2.信託銀行が顧客に対して言う遺言信託の内容
ここでの遺言信託とは、以下の仕組みのサービスについての商品名です。
①遺言を書くときに遺言執行者として信託銀行を指定しておきます。
②相続が生じたときには遺言執行者として指定してある信託銀行が遺言に記載されている通りに財産の分割に関する手続きなどをおこないます。
つまり、遺言の遺言執行者を信託銀行に指定し、相続が発生したときに遺言にしたがって遺産の処分をおこなうというサービスの総称が、遺言信託といわれるものです。
それ以外の付帯サービスとして、遺言書の保管などをおこなっています。
三井信託銀行の遺言信託の例:http://www.smbc.co.jp/kojin/yuigon/
3.信託法が定める信託の設定の方法としての遺言信託の内容
(1)信託行為(信託法2条2項)
信託の設定の方法として信託法では三つの方法を規定しています。
その信託を設定する法律行為を信託行為と呼んでいます。
信託行為は以下の三つです。(信託法3条1項〔信託の方法〕)
①信託契約
信託法3条1項1号ー契約による
②遺言(遺言信託)
信託法3条1項2号ー遺言による
③自己信託(信託宣言)
信託法3条1項3号ー自己の意思表示による
(2)遺言信託
信託行為のうちのひとつである②、遺言によって信託行為をすることを遺言信託と呼び慣わしています。
遺言のなかに信託設立に関する必要な項目を定め、遺言者の死亡後に信託を開始させます。
具体的な目的として次のようなことが考えられます。
「○○銀行の次の預金を信託財産として管理運用をおこない、受益者である配偶者の安定した生活が送れるよう支援し、その福祉を確保することを目的とする。」と遺言し、その信託設立に必要な細目もその遺言中に定めます。
4.まとめ
ややこしく、紛らわしいのですが、まとめると次のようになります。
信託銀行などが「遺言信託」といった場合は、遺言執行者を信託銀行にする契約を信託銀行と結ぶことをいいます。
一方、死亡後の財産処理として信託をの設定を希望し、遺言信託を考える場合は、信託行為のひとつである遺言をすることをいいます。
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