相続争いの後に何が残るのでしょうか(遺言の限界)。
父親が亡くなって13年。「以前は仲が良かった」という親族間のいさかいの出口はまだ見えない。
相続争いの不毛さをおもい,他人のこととはいえ暗澹たる気持ちに襲われてしまいました。
なぜ取り立ててこの記事に引き込まれたのだろうか。
たぶん,相続争いと無縁とおもえる兄弟間に起こった争いだったからかもしれません。
しかも,父親の死後13年も経過している今,いまだ解決の目処がたっていないためなのかもしれません。
相続争いの予防策としての遺言の限界について,思いつくまま書いてみます。
Contents
1.相続争いによく出てくる事情
相続争いの発端としてよく出てくるのが次のような話です。
①本人が認知症を患っている。
②本人を一部の親族が隔離する。
③養子縁組がなされる。
④遺言が作成される。
⑤本人の死亡直前に養子縁組・遺言書作成がなされる。
2.相続争いの行き着く先
(1)争いの長期化
裁判で争うのが一般的ででしょうが,長期化する傾向があります。
今回の事例でも,相続後争いは13年間も続いています。
(2)修復不可能の人間関係
どちらが勝ったとしても,家族関係は修復不能となってしまいます。
勝ったところで残るのは少々の財産だけです。
相続争いは得るものは少なく,失うものは大きいのです。
3.相続争いの回避策の有効性
遺言書作成
遺言書を作成すればよいという人もいますが,私は悲観的にならざるを得ません。
遺言書に不満なものが必ず出てくるからです。形式的には遺産分割は終了しますが,不満は残ったままです。
不満が昂じてくれば,遺言書の有効性について裁判が行われるということになってしまいます。
4.まとめ
相続における争いの種は,遺産がたくさんあるかどうかということに関わりなく発生してしまいます。
いったん発生してしまえば,どう解決したとしても不満を残す人が出てきます。そして,家族関係は破戒され,修復はきわめて難しくなってしまいます。
法定相続人全員が納得できる遺言はない。そう覚悟を決める必要があります。
それを避けたいのであれば,法定相続にしたがって相続させるほかはないのではないでしょうか。
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