事実婚(内縁)のカップルは成年後見の申立人になれるか
事実婚,内縁
事実婚,内縁について説明はいらないとはおもいますが,結婚届を市役所に出していないカップルのこと。結婚届を出しているカップルと何ら変わることなく,夫婦同然の生活を送っており,周囲も実質的な夫婦と認めているような関係をいいます。
注意が必要なのは不倫関係にあるカップルは内縁とは言いません。離婚をして不倫関係がなくなれば内縁となります。いくら長い間同棲していて夫婦同然であったとしても不倫関係が解消しなければ,内縁関係にはなりません。
こうした事実婚,内縁関係として世間も本人も認めていた芸能人・有名人も少なくありません。女優の萬田久子さん,ドリカムの歌手・吉田美和さん,衆議院議員の野田聖子さん,社会民主党党首・福島瑞穂さんなどがいらっしゃいます。
事実婚,内縁の妻は夫の財産を相続できますか
できません。
事実婚,内縁の妻の相続における法的な立場は結婚の届けを出した妻に比べて格段に低いことはいろいろお聞きになっていらっしゃるかとおもいます。事実婚,内縁の妻には相続権がありません。したがって,夫にどれほどの財産があっても夫の方の親族に全て相続されてしまい,実質的な妻は一銭も相続できません。
事実婚,内縁の妻は成年後見の申立人になれますか
なれません。
相続はパートナーが亡くなった時の話ですが,夫が認知症などで判断能力を失った時も事実婚,内縁であるということが成年後見の申立てをする場合の障害になってしまいます。
結婚の届けがされている夫婦の妻は法定後見の申立てを配偶者の立場ですることができます。事実婚,内縁の妻は法律的には配偶者になれませんので法定後見の申立てはできません。どなたか4親等内の親族に申立人になってもらわなければ夫に後見人をつけることさえできません。
夫に4親等の親族がいて申立てをしてくれればよいのですが,その親族がいなかったり,いても申立人になってくれないということも考えられます。申立てができなければいつになっても夫を守るための後見人を夫につけることができなくなってしまいます。
内縁の夫のために成年後見の申立てをする方法は
(1)市長申立てを利用する
成年後見制度の利用が必要な状況であるにもかかわらず、本人や家族ともに申立てを行うことが難しい場合など、特に必要があるときは市町村長が申立てすることができます。
とはいえ,該当の市が積極的でないなどの問題があります。申立てがおこなわれたとしても今日明日というわけにはいきません。
(2)任意後見契約をお互いに結んでおく
これが一番おすすめできる方法です。少々費用と手間はかかりますが確実です。判断能力を失った時に健常であるパートナーが判断能力を失ったもののかわりに財産の管理,本人の療養監護を行うという契約をお互いに結んでおくわけです。 こうしておけば結婚の届けをした夫婦と同じように,夫の財産管理(預金の引き出しなど)や療養監護(夫のデイサービス等の入所契約など)をすることができます。
余談ですが,夫の財産の相続についてお互いに遺言をすることによって,結婚の届けを出した妻と同様に財産を相続することができます。
なお,当事務所では,任意後見,遺言・相続のご相談も承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。
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