履歴書の賞罰欄の罰とは何のことでしょうか。

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1.履歴書の賞罰欄

履歴書を見ると,学歴,職歴欄に続いて賞罰という欄があります。

賞については,私が見た履歴書記入の指南書によりますと,「スポーツであれば国内大会で入賞以上、文化活動であれば国際レベル、もしくは誰もが知っているような有名な賞(直木賞など)であることが望ましい」となっています。
参照:http://www.enjapan.com/tenshoku-daijiten/10662/

それでは罰についてはどう書くべきでしょうか。

2.犯罪歴についての記録

刑法には刑の種類として死刑・懲役・禁固・罰金・拘留・過料・(没収)が決められています。この刑の順番は刑の重い順番になっています。

市区町村では犯罪人名簿で管理されています。刑が消滅(刑法34条の2)すると破棄されているようです。
ご自身の本籍地がある市町村の「犯罪人名簿事務取扱規程」を確認してみてください。

検察庁も市町村とは別に犯歴管理を行っています。 市町村の犯罪人名簿とは違い拘留,科料などの軽微な罪も記載され,本人が死亡するまで抹消されることはないようです。

3.刑の消滅と刑の執行猶予

(1)刑の消滅(刑法34条の2)

前科が禁錮以上の場合は10年,前科が罰金以下の場合は5年大過なく過ごせば,前科が消えます。また,刑の減免を受けた場合は2年です。これを刑の消滅と呼んでいます。

大過なく過ごすというのは,罰金以上の刑を受けないという意味です。

前科が消える(刑の言い渡しが効力を失う)というのは,その後における法律上の取扱として,過去にそのような刑の言い渡しがなかったと同じに扱うということです。

たとえば,禁錮以上の刑に処せられた者は弁護士になる資格がありません。
刑の消滅に該当すると過去に刑に処せられたことがない者として取り扱われます。したがって,禁固刑以上の刑に処せられた者も,弁護士になる資格が回復することになります。弁護士になれることになります。

(2)刑の執行猶予(刑法27条)

刑の消滅と同じような制度として,刑の執行猶予という制度があります。
刑の執行猶予とは,一定期間(執行猶予期間)を無事に過ごせば刑の執行を受けなくてすむとともに,刑の言い渡しが効力を失う(前科が消える)ことをいいます。

先にいいましたように,禁錮以上の刑に処せられたものは弁護士になる資格がありません。
猶予期間中は,禁錮以上の刑に処せられた者は弁護士になる資格はありません。しかし,執行猶予が執行期間中に取り消されないで無事に猶予期間が経過すると,弁護士になる資格を回復することになります。弁護士になれることになります。

4.履歴書の賞罰欄における記載が必要となる罰の範囲

(1)罰の記入が必要なものの範囲は

賞罰欄の罰として記入が必要なものの範囲は整理すると次のように区分されます。

①刑に処せられたものすべてを記載する必要がある。
②刑の消滅したものは記載する必要はない。

(2)裁判例

①特別の事情がなければ,賞罰欄の罰については刑に処せられたもののうちで,刑の消滅していないものだけを記入すればよいとしています。
②刑の消滅したものを記入しなかったからといってそれを理由に解雇することはできません

「履歴書の賞罰欄にいう「罰」とは一般に確定した有罪判決を意味する。」
「職種や雇用契約の内容から見て過去の前科が重要な影響を及ぼすような特別の事情がなければ,労働者は使用者に対して刑が消滅したものまで告げる必要はない。告げなかったとして,それは雇用者の信頼を裏切るものではない。」
「雇用者は消滅した前科について申告していないことを理由に解雇することはできない。」

参照:昭和60年9月19日仙台地方裁判所

5.まとめ

原則として,賞罰欄に記載する必要が無いものを箇条書きにしておきます。

①不起訴処分になったもの
②刑事事件公判中のもの
③不起訴あるいは起訴猶予となったもの
④行政罰である交通事故の青切符(赤切符を除く)
⑤刑の執行猶予期間が無事に過ぎたもの
⑥刑の消滅したもの
⑦少年法の特例にあたるもの(少年法60条 人の資格に関する法令の適用)

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神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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