子の氏の変更について考える。

子どもが父親又は母親と氏(苗字)が違ってくる場面がいくつか考えられます。氏(苗字)が違ったからと言って,親子であることにはかわりはありません。とはいえ,親子が同じ氏(苗字)の方が都合がよい場面も出てきます。そこで,今回は子どもの氏(苗字)の変更について考えてみます。

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1.子が父または母と氏を異にする場合

民法で子どもの氏(苗字)が父親と同じですが,母親とは違っていることがあります。また,母親とは同じですが,父親とは違った氏(苗字)であったりします。そうした理由として下記ような場合が民法上考えられます。

①父母が結婚した場合(民法750条)
②父母が離婚又は死別により父又は母が婚姻前の氏に戻った場合(767条1項,751条1項)
③父又は母が再婚して氏を改めた場合(750条)
④父又は母が養子縁組をした場合(810条)
⑤養子である父母が離縁により縁組前の氏に戻った場合(816条)
⑥嫡出でない子が父に認知された場合(779条)

2.子の氏の変更手続き

原則として,家庭裁判所の許可をえた上で戸籍法上の届出をする必要があります。
ただし,父母が婚姻中は裁判所の許可は不要で,戸籍法上の届出だけですみます。
(注:離婚にともない復氏した配偶者が婚氏続称をしたとき,夫の戸籍にある子の氏は呼び方としては同じになりますが,別の氏と解釈されます。母親の戸籍に入れる場合は家庭裁判所の「氏変更許可申立」をおこない許可をえる必要があります)。

「氏変更許可申立」は親子関係があればよいので,未成年(未成熟子)でなくてもかまいません。大の大人でもよいのです。しかし,父や母が生存中に限られます。亡くなってしまった父の氏(苗字),なくなってしまった母の氏(苗字)に変更することはできません。

3.子の氏の変更がもたらす紛争

妻子がいる夫が妻以外の女性との間にできた子を認知した場合に問題となることが多いようです。認知した子の氏を父親の氏にすると言うことは,認知した非嫡出子を嫡出子と同じ戸籍に入れることになります。妻と嫡出子はなかなか納得できないのも頷けます。

この場合に家庭裁判所が非嫡出子の氏の変更(父親の戸籍への入籍)を認めるかどうかについては,いまだ判例・通説ともに統一されていない状態のようです。

4.まとめ

父と子,母と子であるということと氏(苗字)は関係ないはずです。氏(苗字)が違っていても実質的な親子関係に変化があるわけではありません。たとえば,相続をする権利に影響があるわけではありません。とはいえ,実社会において,苗字が同じであることや同じ戸籍に記載されていることは,別の評価を受けるのが実状です。

私たちは戦前から続く家の観念に無意識に縛られて生活をしているのだという感を強く持ちます。

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投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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