後見人の損害賠償責任は場合によっては高額

息子が引き起こした自転車事故の賠償金9500万円」の支払いを母親がするようにという判決が下されたという記事が新聞に載りました。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130713/waf13071312010019-n1.htm (リンク先の都合によりリンク切れになっています)
後見人の賠償責任について考えさせられる事件でした。この事件では息子に責任の能力がないためにその親に監督者としての賠償責任を認めています。親がない場合には未成年後見人が指定されますが,その未成年後見人の賠償責任は親と変わりません。場合によっては未成年後見人にこの9500万円が請求される事態も考えられるわけです。
未成年後見人のほとんどは親族が選任されています。ここでは成年後見人が追わなければいけない責任について考えてみます。本人に対する責任と第三者に対する責任とに分けてみていきます。
1 本人に対する責任
(1)刑事責任
後見人が本人の財産を横領したるする事件が報道等で見聞きする機会が増えています。後見人が親族であっても責任を免れることができないと考えられています。通常であれば親族相盗例として刑の免除,あるいは被害者が告訴しなければ罪に問われることがないのですが,成年後見人にはその特例は適用されないと思われます。
(2)民事上の責任
本人の生活,療養看護,財産の管理に関する仕事を,本人の意思を尊重しつつその心身の状態,生活の状況に心を配りながら実行していく責任が後見人にはあります。善良な管理者としての注意義務が要求されているわけです。
この注意義務に反して本人に損害を与えたときには債務不履行責任(あるいは不法行為責任)としての損害賠償の責任を負うことになります。
2 第三者に対する責任
責任無能力者は損害賠償の責任がありません。そのかわりに責任無能力者の監督義務者がその責任を負う場合が出てきます。責任無能力者とは精神上の障害により自分の行為が違法だとして非難されるものであることを理解する能力がない人のことをいいます。
成年後見人はここでいう監督義務者です。冒頭の事件の母親も監督義務者にあたります。成年後見で支援を受けている人は成人に近い未成年者と比較すれば他人(第三者)に重大な損害を与える可能性は大きくはないのですが,皆無とはいえません。
刑事責任を追及されるような行動は論外ですが,つい注意義務違反を犯して損害賠償を請求される立場に追い込まれる可能性はいつもあります。第三者に対する責任が生じる可能性は低いとはいえその結果は重大です。親族が成年後見人を引き受けるにあたってもこうしたリスクがあるということを十分承知した上で引き受けるべきでしょう。親族であるからといって賠償責任がなくなるわけではありません。
こうした賠償リスクは成年後見人だけではなく,保佐人,補助人,任意後見人,未成年後見人についてもかわりありません。このような後見人などの賠償義務を担保するためには保険(業務過誤賠償責任保険)への加入がどうしても必要になります。
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投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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