前回は外国人の法定後見について考えてみました。任意後見契約を外国人が日本において結ぶことが出来るかを考えてみます。
 本人が後見を依頼したい人と支援内容を決め公正証書によって契約をすることを任意後見契約と言います。契約が効力を持つのは本人の判断能力が不十分になり,家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときになります。本人の判断能力が十分なことが必要です。法定後見は逆に判断能力が不十分な場合に利用する制度です。
 任意後見契約について契約の性質の解釈により準拠法について二つの説があるようです。
(1)契約ですから当事者が契約時に選んだ国の法律が準拠法となるという考えがあります。日本の任意後見契約の方式を選び公正証書による日本の任意後見契約を結んだのですから日本法が準拠法となります。
(2)契約ではあるが後見に関する契約であるので本国法によるべきであるという考えがあります。この考えによれば準拠法は本人の本国法によることになります。本国法に任意後見契約の規定がないときには任意後見契約は結ぶことが出来ないことになります。
 ただし,反致の規定が本国法にあれば契約が可能になります。反致というのはたとえば日本の国際私法(法の適用に関する通則法)が本国法を準拠法と定めたときにその本国法において日本国を準拠法と定めているために結果的に準拠法が日本法になるというような事態を表しています。
 (1)の考えにしたがえば外国人でも日本において任意後見契約を結ぶことができることになりますが,(2)の考えにしたがえば外国人は本国に任意後見契約の制度がない場合には本国法に反致の規定がない限り任意後見契約を日本において結ぶことは出来ません。

 現在は外国人のうち3割弱ほどの在日の方が日本で生活をしています。任意後見契約は(1)の考えによれば可能です。(2)の考えによれば次のとおりになります。
 北朝鮮法を本国法とする在日の方(在日朝鮮人)の場合は反致が成立して日本において任意後見契約が可能と考えられているようです。
 韓国法を本国法とする在日の方(在日韓国人)は今まで韓国法には任意後見契約の制度がなく,反致の規定もないので任意後見契約は結べないと考えられていたようです。しかし,今年(2013年7月)から新しい成年後見制度が韓国で施行され,任意後見契約の制度も盛り込まれているようです。今後は在日韓国人の方も(2)の考えにしたがっても任意後見契約を結ぶことは可能になると思われます。国際裁判管轄も本人の居住地国(日本)とすることにもあまり異論はないようです。
 任意後見制度の準拠法の規定は法の適用に関する通則法」にもないのが現状です。在日の方の高齢化などを考えると早期の対応が望まれます。 
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