相続放棄をしたとき保険金などを受け取って使ってもかまわないか-1

 現在,保険の世帯加入率が高いことを考えると相続放棄を希望するとき保険金などの支払が同時に発生する場合も多くなります。
 相続放棄にあたって保険金などの受取が相続財産を処分したことにならないか慎重な検討が必要になります。相続放棄をする者は相続財産を処分することはできないからです。もし相続財産を使った(処分をした)ときには相続放棄は無効になり亡くなった人の借金を含めて一切の財産を相続したことになってしまいます。
 そうした不都合を避けるためには保険会社からの支払金が相続財産にあたるか,受取人の固有の財産なのかを見極める必要があります。
1.保険の加入率が高く,相続放棄の申立てが増加
 ほとんどの家庭で何らかの保険に加入していることを考えると相続発生時に保険に関する支払がなされることが予想されます。生命保険文化センターは平成24年度「生命保険に関する全国実態調査(速報版)」を発表しています。それによりますと,生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は全生保で90.5%(前回の平成21年は90.3%)ということです。
 一方,相続放棄の家庭裁判所への申立件数も増加しています。平成23年の申立件数は15万6419件です。平成3年頃まで横ばいでしたが,その後毎年増加しています。平成3年では4万5884件の申立件数ですのでこの20年で3.4倍になったことになります。平成23年の死亡者数は125万3463人(平成24年6月5日厚生労働省発表)。死亡者数に対する申立ての割合は12%強になります。
2.相続財産となる場合とならない場合の区分
 相続財産となる保険の支払金となるかどうかはその支払いが約款によって誰になされるとなっているかの区分にしたがいます。その支払金が被保険者に支払われるとなっているときには相続財産になります。また,契約者が指定した者に支払われるとなっているときには相続財産ではなく,指定された者の固有の財産として取り扱われます。
 保険会社から支払われるものには死亡保険金,高度障害保険金,入院給付金などがあり,場合によってはこれらの支払が同時におこなわれます。保険会社の支払であるからといってすべて同じ取扱いではなく,それぞれの保険金・給付金によって相続財産となったり,そうでなく受取人の固有の財産となったりします。
注1:保険契約の契約形態は契約者=被保険者とします。自分に保険をかけて保険料を自分が負担をするというよく見かける契約の形です。
注2:約款とは多数の者を契約の相手とする会社が契約者と交わすあらかじめ定められた内容の画一的な定形の契約をいいます。ここでは生命保険約款のこと。
 受取人の指定の仕方,契約の内容などによって相続財産として取り扱われるかどうかが違ってきますが,その辺を次回はもう少し詳しく見ていきたいと思います。
                      成年後見・任意後見のお問い合わせはこちらまで 
                                                                                               
                         お困り事や相続・遺言のご相談,各種許認可のお問い合わせは
                                                              こちら
 ⇒  神宮司行政書士事務所

Follow me!

Contents

投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


©2014 神宮司行政書士事務所