夫死亡後の嫁の立場
二回にわたっておもに子供のいない嫁と夫の両親との相続問題を考えてみました。今回は夫亡き後の婚家と嫁の関係を姻族関係,扶養義務相続という点から考えてみます。
夫の死亡により夫婦関係は消滅しますが,姻族関係は自動的には消滅しません。夫が死亡した後の姻族関係は嫁が望めば姻族関係はなくなりますが,なんの手続もしないと姻族であり続けます。嫁と舅・姑関係も継続します。他の男性と再婚をしてもなくなった夫の家族との姻戚関係はそのままです。この場合は二つの姻族をひとりが持つことになります。
姻族関係が終了の意思表示をすれば離婚をしたのと同じで嫁・舅関係などの姻族関係も一切消滅します。したがって,舅・姑の扶養や介護から全面的に開放されます。
姻族関係を継続した場合でも舅・姑との助け合いの関係は民法上はほとんどないと言えます。嫁という立場からは舅・姑と同居でもしていなければ道徳的な意味においても相互の助け合いを要請されることはありません。また,金銭的な意味においての扶養の義務は原則的にはありませんが,特別の事情があるとして家庭裁判所から扶養の義務を負わされることがある程度です。
姻族には相続権は認められていません。嫁と舅・姑との関係の薄さを象徴するかのように舅・姑家族の相続には姻族である嫁には相続権はありません。たとえ,どんなに姑の介護に後見したとしても夫亡き後の嫁には遺産の分配は遺言でもない限りはありません。
ずいぶんと常識と離れているように感ずる向きもあるでしょうが,この関係が現行の民本が描いている夫婦とそれぞれの相手方家族との関係です。嫁と舅・姑との関係,婿と舅・姑関係は思いの外薄いものだということになります。
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