紀州のドン・ファン遺言書判明、その遺産の行方は?

急性覚醒剤中毒で5月に急死した「紀州のドン・ファン」こと和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(享年77)が生前、遺言書を残していたことが判明、関係者を驚かせている。出身地の田辺市に遺産のすべてを寄付する内容で、遺言通りになれば、2月に結婚したばかりの若妻A子さん(22)には一銭も残されないことになる。再びドン・ファンの周辺が慌ただしくなってきた。

情報源: 遺産はどこへ 紀州のドン・ファン遺言書判明で妻ら騒然 (1/2ページ) – zakzak

 この記事の事実関係の真偽のほどは定かではありません。興味本位に仕立てられていても不思議ではありません。
 それはそれとして、もしも事実関係が記事が伝えるとおりだとしたらその相続関係はどうなるのかと考えるのも面白いと思い、取り上げてみました。

1.事案の法律関係

(1)法定相続人は誰か

 記事でははっきりと書いていませんが、記事の内容から推測するところ子供等直系卑属はなく、両親等直系尊属もすでに亡くなっているようです。また、配偶者は妊娠していないようです。
 したがって、法定相続人は以下のとおりになります。(民法886条から890条)

①配偶者
②兄弟姉妹
 *兄弟姉妹の中にすでに死亡した者がいる場合:死亡した兄弟姉妹に子があればその子(甥・姪)が代襲相続人

(2)遺留分請求権者と遺留分割合

 兄弟姉妹以外の法定相続人は遺留分減殺請求をする権利があります。
 この事案では遺留分請求権者は配偶者のみとなり、その遺留分の割合は相続財産の50%です。(民法1028条)

(3)遺贈とその放棄

①遺言の効力発生時期

 遺言により財産を贈与する遺贈の効力は遺言者の死亡の時から生じます。(民法985条1項)

②遺贈の放棄

 遺贈は放棄することができます。(民法986条1項)
 遺贈が放棄されたときにはその遺贈される予定であった財産は法定相続人のものになります。(民法986条2項、995条1項本文)
 分けることが可能な遺贈は一部放棄を認めるとする説が有力のようです。

2.相続財産をめぐる今後の展開

(1)遺贈先である田辺市の対応と遺留分
①市が遺贈された財産の全部または一部承認する場合

 配偶者が遺産の半分についてそれは自分が受け取るべき財産であると主張することができます。これを遺留分減殺請求と呼んでいます。
 ただし、遺留分減殺請求はしなくてもかまいません。

②市が遺贈を放棄した場合

 配偶者と兄弟姉妹(代襲相続する甥・姪を含む)が遺産相続をすることになります。
 その相続割合は配偶者四分の三(75%)、兄弟姉妹四分の一(25%)。
  *この場合、配偶者・兄弟姉妹はそれぞれ相続放棄をすることもできます。(民法938条)

(2)刑事事件に発展

 この場合、犯罪の内容によっては相続人の資格を失う者もでてきます。(民法891条1号又は2号)
 このときは、相続人の欠格事由に該当しない相続人のみで遺産を法定相続割合に従って分割することになります。

3.まとめ

 この事案では遺贈先である市が遺贈を承認・放棄するか、刑事事件に発展するかによって法定相続人の相続財産の額が大きく違ってきます。物見高い野次馬が死亡した本人の生前のキャラクターと相まって好奇心を刺激されるのはやむをえないかもしれません。

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