Q1:任意後見制度の利用手続について教えてください。
Q2:任意後見制度は,より活用されていくのでしょうか。
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A1(任意後見制度の利用手続)
将来の任意後見人として信頼できそうな人を選び,その人と代理権の範囲,任意後見人の報酬など契約の内容を決定します。任意後見契約は,将来,判断能力が不十分になってから発効するものですから,「判断能力はあるが,体が不自由なので今から支援を受けたい。」などという場合には,任意代理契約をあわせて締結します(移行型)。契約内容は十分に検討しておく必要がありますが,なかなか難しいものです。一般社団法人コスモス成年後見サポートセンターに相談すれば,任意後見人候補者の紹介を受け,最適な契約内容を提案してもらえます。
契約内容が決定したら,契約書を作成します。任意後見契約締結の段階では,家庭裁判所は関与しません。公証人の作成する公正証書で締結しますので,公証役場へ出向くか,公証人に出張してもらいます。もちろん,公証人との事前打ち合わせも必用です。その際,公証役場の手数料と実費(数万円程度)がかかります。
その後,本人の判断能力が衰えてきたとき,任意後見人や親族等が,本人の同意を得て,家庭裁判所に対し任意後見監督人選任の申立てをします。そして,任意後見監督人が選任されると,任意後見人候補者は任意後見人として契約に定められた事務を開始することになります。任意後見人の報酬は家庭裁判所が決定します。
なお,任意後見契約を解除することもできます。任意後見監督人が選任される前であれば,公証人の認証を受けた書面によっていつでも解除できます。任意後見監督人が選任された後は,正当な理由があるときに限り,家庭裁判所の許可を受けて解除することができます。
A2(任意後見制度は,より活用されていくのでしょうか)
近年,「終活」や「エンディングノート」という言葉をよく耳にするようになりました。「老後の安心設計」の一環として,任意後見制度の活用も期待されています。今後,増加していくであろうニーズに応え,皆様に安心して活用していただくためにも,信頼できる任意後見人候補者の育成,必用かつ十分な契約内容の研究などがさらに進められていくことになるでしょう。
*この記事は月刊「日本行政」(日本行政書士会連合会の機関誌)のNo.503,平成26年10月号の記事に基づいています。
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