俺の子のはずがない(推定の及ばない子)

親子関係(父子関係)をDNA型鑑定で決着をつける,ということが安価にできるようになってきています。現在の民法の親子関係(父子関係)をめぐる枠組みを概観してみようと思います。

Contents

1.ひょっとしたら親子関係がないかもしれない(嫡出の推定がされない子)

できちゃった婚によって生まれた子が,結婚後200日以内に生まれたときには,その子は「推定されない嫡出子」となります。
できちゃった婚においては「俺の子ではないかもしれない」という疑念が脳裏をかすめます。また,できちゃった婚で生まれてきた子も,父親の財産の相続争いに巻き込まれ,「親子関係不存在確認」の訴えの標的にいつでもなりうる心配をしなければなりません。
できちゃった婚について考える(推定されない嫡出子)

2.親子関係があるのはまず間違いがないだろう(嫡出が推定される子)

結婚後200日を経過して生まれた子は「推定される嫡出子」となります。
この場合「いや,俺の子ではない」と父親が言うことができるのは子どもが生まれたのを知ってから一年以内だけです。その後は事実がどうであれ,「俺の子でない」と言うことはできません。
また,「俺の子ではない」といえるのは父親だけで,「この子は父親の子ではない」と母親などの他の人が言うこともできません。
この「俺の子ではない」という訴えを「嫡出否認の訴え」と言います。

3.俺の子のはずがない(嫡出の推定が及ばない子)

結婚後200日を経過して生まれた子であっても,諸般の事情から物理的に夫婦の子ができるはずがないという場面がでてきます。そんなときでも,父親に親子関係を押しつけて,養育の義務を果たさせるのは酷ではないかと考えました。本来「推定される嫡出子」ではあるが,その推定が及ばない子どもであるという意味で「推定の及ばない子」と呼ばれます。「夫が航海に出ていて日本にいなかった。あるいは,収監されていて妻と肉体的に接触する機会が不可能であった。」などが具体的には考えられます。

4.嫡出の推定が及ばない子の範囲

嫡出の推定が及ばない子と認定されると「親子関係不存在確認」訴えの対象となり,関係者がいつでも訴えを提起できることになります。あまり嫡出の推定が及ばない子の範囲を広くとると原則と例外が逆転してしまうおそれがあります。

5.民法の嫡出推定をDNA型鑑定で破ることができるか

来月,平成26年7月17日(水)に最高裁判所がDNA型鑑定と「推定の及ばない子」との関連について判断が示されそうです。

 最高裁で弁論が開かれた父子関係取り消し訴訟は、DNA型などの鑑定技術の急速な向上により、民法が想定しなかった事態が起きていることを示している。最高裁が来月17日に示す判断によっては、同種事案に影響を与えそうだ。

今回の2訴訟で最大の争点は「民法の嫡出推定をDNA型鑑定で破ることができるかどうか」だ。

民法は772条で嫡出推定を規定する一方、嫡出推定を覆す手段として嫡出否認の訴えを定めている。ただし、訴えを起こせるのは夫だけで、提訴期間も「子の出生を知った時から1年以内」に限られる。

判例では、夫が遠隔地で暮らしているなど明らかに夫婦関係がない場合などには例外的に「推定が及ばない子」として扱われるケースもあったが、2訴訟ではこうした事情はなかった。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140609/trl14060921440006-n1.htm (産経ニュース)(リンク先の都合によりリンク切れになっています)

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神宮司 公三
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