死亡届は葬儀社の人が出せばいいのか(法定死亡届出義務者)
「死亡届って葬儀社の人が出すんでしょ」。そう思っている人は少なくない。確かに、葬儀の現場では、葬儀社の社員が親族などの認印と医師の死亡診断書をもって役所へ出向く姿を見かける。しかし、彼らはあくまで使者なのだ。
死亡届出義務者が戸籍法で決められているのは知っていましたが,あまり気にもとめていませんでした。
フェイスブックの友達である行政書士仲間から,死後の事務委任契約において「死亡届出提出」を受任をすることは可能かという問いかけがありました。
届出義務者のことに興味を引かれて,すこし調べてみました。
Contents
1.戸籍法上の届出義務者
戸籍法によると
第八十七条 左の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。但し、順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族
第二 その他の同居者
第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
一緒に住んでいる親族が届け出なければいけません。
また,その他に一緒に住んでいる人がいれば,その人も届け出る義務があります。
家主・地主あるいはその家屋・土地をを管理している人も死亡を届ける必要があります。
その他,義務ではないが届け出ることができるのは一緒に住んではいない親族,後見人,保佐人,補助人,任意後見人です。
親族というのは六親等内の血族,配偶者,三親等内の姻族をいいますのでかなりの遠縁の人も含まれることになっています。
2.法定の届出義務者と現状の齟齬
独居の高齢者が増えてきています。身寄りのないひとり暮らしの人も今後はさらに増加していくと思われます。
たとえば,身寄りのない高齢者の独居の人が無くなったケースで考えてみましょう。そのときの死亡届出義務者は誰になるのでしょうか。
①独居ですから当然同居の親族,その他の同居者もいません。
②その家が死亡した人の所有の自宅であれば,通常は家主・地主・管理人もいないことになります。
③同居していない親族を探すといっても容易ではないでしょう。運良くわかったとしても,関わり合いを嫌って届出を断ってくることもあるでしょう。
④法定後見の審判を受けていなければ,後見人,保佐人,補助人もいません。また,任意後見契約を結んでいても任意後見監督人が選任されていなければ,任意後見人はいないということになってしまいます。
戸籍法が想定している死亡届出義務者と現状との行き違いが生じてきています。
3.死んでも火葬もして貰えない
死亡届が出せないと火葬の許可も受けられないということになってしまいます。
「行旅人及行旅死亡人取扱法」という法律に,行き倒れになって死亡した場合は市町村が火葬・埋葬などをおこなうことになっています。とはいえ,市町村はこの処理をできるだけ避けようとするという話しを聞いています。市町村のホームページをざっと眺めてみましたが,死亡届出の箇所に届出人がいない場合について触れているものは有りませんでした。
届出義務者がいない場合には「遺体の押し付け合い」のような状況になることもあります。冒頭の記事にもそうした緊迫した場面が描かれています。
4.まとめ
身寄りのない人は死んでも死にきれないというような事態は避けなければなりません。戸籍法の届出義務者を改めるとか,行政の処理に工夫ができないかを検討するなどしてほしいものです.そして,身寄りのない独居の高齢者が安心して老後を送れるような体制になることをきぼうします。
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