遺言書と生活設計

 遺言書は遺書とは違います。遺言書というと人生の最後に言い残すものというイメージが強い人もいるようです。死ぬ間際に自分の思いをつづる遺書とダブって考えるせいなのかもしれません。
 保険会社ではライフサイクルに基づく生活設計を提案しています。本人が死亡した場合の準備という項目があり,遺族の生活保障の検討を勧めています。遺族の生活保障の手段として保険の加入の提案を受けます。
 遺言も遺族の生活保障の重要な要素です。保険だけが遺族の生活保障の手段ではないはずです。初婚で子供は夫婦の子で収入の多くは夫の収入だけという標準的だとされる家庭ではそれでもよいのかもしれません。しかし,離婚の増加,再婚,夫婦共働き,少子化をともなう高齢化といった社会になり,家族の人間関係が複雑化してきています。
 家族の最小単位とされる夫婦,親子の関係も単純ではなくなりました。離婚した妻(夫)が同居して養育している子供がいることもあります。妻の前婚の子と自分たちの子とが同居することになるかもしれません。親を支える子の数が少ないので夫の親だけでなく妻の親の介護も負担しなければならなくなってきています。
 複雑化した家族における生活設計は遺言も含めたものにする方がより適切です。たとえば再婚時の妻の前婚による子(妻の連れ子)と夫婦の実子の処遇をどうするのかということが考えられます。生前に養子にするということも選択の一つです。遺言において相続分のない連れ子に遺贈をするというのも選択のひとつになります。相続させるほどの資産がないのであれば保険の加入により死亡保険金の受取人指定の仕方を工夫する子とも必要になるかもしれません。どういう選択をするかはともかくとして遺族の生活保障(生活設計)のひとつとして遺言という手段も有効であることは間違いありません。
 生活設計は一度設計したならばそれで終わりではありません。家庭環境の変化の節目節目に再設計が必要です。遺言もそれにともなって書き換えが必要になります。遺言書の変更・訂正は新規に書き直せば変更・訂正したことになります。日付が新しい遺言書が優先されます。

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投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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