後見開始の申立ては勝手に取り下げることができなくなりました。
「家事審判法」の見直しにより「家事事件手続法」が制定され,2013年1月1日から施行されました。
施行にともない,成年後見の審判の取下げに家庭裁判所の許可が必要になり,本人の保護がさらに図られるようになりましたのでここで取り上げてみました。その他にも,離婚調停の観点からは,両当事者が調停の出席のごとに顔合わせをすることが原則の取扱いになり,また離婚調停の申立書が相手方に送られることになるなどの大きな変更が見られます。当事者が遠隔地の場合の電話会議,テレビ会議のシステムにより調停の利便性が増しています。
成年後見の審判の申し立てをした後に申し立てを取り下げることは家庭裁判所の許可がなければできなくなりました。今までは明文の規定がなく,審判が確定するまでは申立人はいつでも自由に取下げが可能な取扱いになっていました。
今後は,成年後見の審判を申し立てた後は申立人の勝手には取り下げることはできなくなります。申立ての取下げは審判があるまで取下げができるとするのが原則の取扱いですが,成年後見については明文で例外的な取扱いをするという規定が設けられました。
成年後見の申立て取下げの理由・動機などを総合的に勘案して許可するかどうかを家庭裁判所が判断することになります。不当な理由によって申立てを取り下げることは難しくなりますので本人の保護にも資することにもなります。
たとえば,旧来は,申立人が希望した以外のものが成年後見人として家庭裁判所によって選任されたり,選任されそうになったときに取下げがなされてきました。成年後見人なることを通じて本人の財産を思い通りにしようとした申立人の思惑が外れてしまうからです。これでは本人の保護にかけるのではないかという議論がなされてきました。今回,明文の規定によって解決がおこなわれることになりました。
申立てた後の取下げには家庭裁判所の許可が必要となったのにともない,不当な取下げを防止することが可能になり,本人の保護がさらに図られるようになりました。申立人は今以上の熟慮が申立て時に要求されることになったとも言えます。
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