舅・姑からみた子供のいない夫婦の相続
前回,子供のいない夫婦の相続のことを話しました。そこでは,夫の財産を分割するパートナーが血のつながりがない姻族になるのでトラブルが発生する可能性が高くなるといいました。
前回は配偶者の立場で相続を考えましたが,逆の立場からこの相続を見てみたいと思います。
夫が死亡して両親が妻と遺産分割をする場合を両親の立場から見ましょう。息子の遺産を家の財産ととらえて不満を募らせる両親が出てきても不思議ではありません。「息子の財産を血のつながらない嫁に3分の2を持っていかれて,自分たちには3分の1しか残らない。一番気に入らないのは嫁が死亡したときには相手の両親か兄弟姉妹に息子の財産が渡ってしまう」というような不満です。
法定相続ですと配偶者の相続割合は子供と遺産分割をするときよりも大きくなります。直系の尊属と配偶者との相続割合は直系の尊属が3分の1,残りの3分の2を配偶者が相続します。直系尊属がいない場合は兄弟姉妹が4分の1,残りの4分の3を配偶者が相続します。
「自分の家の財産」が「他の家の財産」になってしまうという意識が根強く残っています。子供のない配偶者に相続された息子の財産は自分たちの家族には帰ってくることはなく,血縁のない相手の家族に渡ってしまいます。
嫁から見ても両親から見ても子供のない夫婦の相続は夫の財産が多くなればなるほど波乱を含みやすくなると言えます。
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