遺産分割をしなくても長い間使用していれば時効で自分のものになるか

 「父が亡くなり,母もなくなる。母と同居していた長男夫婦がその後も両親名義の自宅(土地・建物)に引き続き住んでいる」。こうしたことはよく見聞きします。 特別に必要がなければ遺産分割協議がなされないまま月日が流れます。そうして30年40年と経過したのだから遺産分割とは関係なしで時効によって自分の物ではないかと考える人がいます。固定資産税もずっと自分が払っているし当然だと思い始めます。そうした感覚もわからないわけではありません。
 しかし,それは正しくはありません。
 取得時効という制度があるのは今や常識になりつつあります。長い間,自分の物として使用(占有)している期間が続くとそれが自分の物でなくても自分の物となるというのが取得時効です。使用(占有)期間が20年以上と10年以上とがあります。10年以上で自分の物になるのは使用(占有)の開始時に人の物だとは知らずに,また,知らないのももっともだと思われる(善意・無過失)事情が認められる場合です。
 親が亡くなったあともずっと住み続ける長男は取得時効に該当するのではないかともみえます。たしかに,人の物を自分の物として20年以上誰に文句を言われることなく使用してきています。
 取得時効にはもうひとつ重要な条件があります。それは「所有の意思」といわれるものです。客観的に見て自分の物として使用しているかどうかです。この長男は自宅を主観的には自分の家の如く使ってはいますが,その自宅はほかの相続人との共有物です。客観的には自分の相続分を除いた部分はほかの相続人のために管理してあげている状況です。この使用(占有)には「所有の意思」が欠けていることになります。いってみれば借りている物はいつまでたっても借りている物で,いくら長い間借りていようが自分の物にはなりません。
 20年経過していようが,固定資産税を自分で払っていようが「所有の意思」はなく共有財産である相続財産を管理しているにすぎません。したがって,何年経過しても長男は両親の財産を遺産分割協議なしでは自分の物にすることはできません。
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