お家再興(氏の変更は可能か)

 お盆で人が集まり,いろいろな話題がでました。その中で行政書士として興味を引かれたものがありました。
 自分の旧姓を自分の息子に名乗らせることができるかという話題でした。すでに両親は他界しており,子供はこの長女ひとりです。彼女が両親の祭祀継承者になっているが,息子に旧姓を名乗らせたうえで彼女の代わりに祭祀継承者になってほしいという希望はかなえられるのでしょうか。
 次のような例で考えてみたいと思います。徳川さんご夫婦には女の子がひとりいます。その子の名は綾子。綾子さんは山田さんと結婚して二人の男の子に恵まれました。一郎君と二郎君です。
 徳川さんご夫婦は二郎君が20歳になってまもなく相次いでなくなりました。綾子さんを除籍した戸籍は除籍簿に移されました。
(1)徳川さんが健在であれば二郎君と養子縁組をおこなうのが通常でしょうが,すでに他界しており養子縁組は不可能です。
(2)綾子さんが離婚をして旧姓に復して徳川を名乗り,その戸籍に二郎君が入れば二郎君は徳川を名乗れます。(離婚による復氏民法767条1項,子の氏の変更民法790条1項)。しかし,離婚というのは穏やかではありません。
(3)徳川という姓の人と二郎君が養子縁組をして徳川姓を名乗ります。離縁後も徳川姓を名乗るためには縁組の日から7年が経過することが必要です。(養子の氏民法810条,離縁による復氏民法816条2項)。必要性のない養子縁組というところが難点です。
(4)徳川という姓の人と結婚をして二郎君が妻の姓徳川を名乗ります。(夫婦の氏民法750条)。結婚相手が運良く徳川姓であればよいのですが,あまりにも幸運頼みです。
(5)家庭裁判所の許可を得て氏を山田姓から徳川姓に変更をする。(氏の変更戸籍法107条1項)。「やむを得ない事由によって」山田姓から徳川姓に変更しなければならないと裁判所に認定してもらうのは難しいでしょう。
 以上いろいろ検討してみましたが氏の変更によってお家を再興しようという希望への道は困難を極めます。そもそも現在の民法には「家」考え方はないといわれています。とはいえ,このケースのように「家」を存続したいという希望を持つ者もいるということです。
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投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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