ちょっと待ってその成年後見制度利用(事業継承と成年後見)

1.成年後見制度利用の開始と終了

(1)利用の開始(民法7条ほか)

 成年後見制度利用を利用するには配偶者や4親等内の親族などが家庭裁判所に申し出て審判(許可)をえなければなりません。

(2)利用の終了(民法10条ほか)

 原因が消滅したとき、配偶者や4親等内の親族などの申出によって家庭裁判所は審判を取り消します。

(3)任意終了の禁止

 相続の遺産分割協議や定期預金解約などにともない後見人が必要となり、成年後見制度を利用しなければならなくなることがあります。
 しかし、当初の定期預金解約などの手続が終わったからといって、成年後見制度の利用を勝手に終わらせることはできません。

 制度利用が消滅できるのは判断能力が回復した場合にのみ、家庭裁判所の許可をえて制度の利用を終了できます。そうでない限り本人が死亡するまで制度利用を義務づけられます。

 必要のときだけちょっと利用して、それ以外は利用しないということはできない制度設計になっています。

2.成年被後見人等の社会生活上の不利益

 制限行為能力者として審判を受けると社会活動の制限を受けることになります。
 問題なのはこの活動制限は一時的なものではなく、長期に継続するという点です。

 例えば、私は現在行政書士の登録を受けて行政書士の業務をおこなっています。
 もし、私が成年被後見人の審判を受けますと、その後この審判が取り消されるまで行政書士の業務を行うことができなくなります。
 (行政書士法2条の2第2号、7条第1号など)

 今回は次項において会社役員の地位の制限についてみてみます。

 社会生活上の不利益の不利益については以前書きました次のブログなどを参考にしてください。
 ブログ:「法定後見を受けることによる社会生活上の不利益

3.成年後見制度による会社役員の地位の制限

(1)株式会社の場合(会社法331項第2号)

 成年被後見人、被保佐人は取締役となることができません。
 したがって、成年被後見人の審判を受けると判断能力が回復したと家庭裁判所が判断するまでずっと取締役になることはできなくなります。当然、代表取締役(社長)になることもできません。

(2)持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)の場合(会社法607条1項第7号)

 成年後見人の審判を受けると自動的に社員(役員)でなくなります。持分会社では株式会社とは違い、被保佐人は含まれていません。
 ただし、その場合でも定款で別に定めた場合は社員を続けることができます。

(3)事業継承における不都合と対策

①不都合
 たとえば、現職の代表取締役が認知症で成年被後見人の審判を受けてしまいますと、強制的にその地位を奪われてしまいます。こうした状況は事業の円滑な継承の妨げになる場合も出てきます。

②対策
 不都合をさけ円滑な引継をするためには、早期の事業継承活動や任意後見制度、個人信託の検討も必要になります。

4.まとめ

 成年後見制度は都合のいいときに一時的に利用するということはできません。会社の役員にとどまることができないということを念頭に制度の利用を検討するべきです。

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