二重国籍者の国籍離脱の手続を見る(蓮舫氏の台湾国籍離脱を例にして)

蓮舫氏は13日の会見で「戸籍法106条にのっとって適正に手続きしている」と説明している。106条では、二重国籍を持つ人が相手国の発行した国籍喪失許可証を提出すれば二重国籍を解消することができるが、日本政府は台湾を正式な政府として認めておらず、許可証を受理していない。
許可証が受理できない場合は、同104条に基づき、日本国籍だけを所有する意思を宣誓する「国籍選択宣言」を日本政府に提出する必要がある。法務省は台湾籍を離脱する場合、同宣言の提出を求めている。
国籍選択の宣言をすれば、手続きした日付が戸籍に明記される

台湾政府の許可証受理せず=蓮舫氏の手続き不備か―金田法相 (時事通信) – Yahoo!ニュース

蓮舫氏の二重国籍問題が大きく取り上げられて,大騒動になっています。
ここでは政治家が二重国籍であることの当否については述べません。
二重国籍状態を解消する具体的な手順について見ておきたいと思います。

1.国籍

(1)国籍の付与

各国は誰を自国民と認めるかは自由であり,その国の専管事項です。
どのような人に日本国籍を与えるかは日本が決めることで,他の国が決めることではありません。

日本国籍の付与については憲法10条において,日本国民たる要件は法律で定めるとなっています。そしてそれを定めている法律が国籍法です。

(2)出生にともなう国籍の取得

血統主義と生地主義とに大別されます。
このいずれかを基本として折衷的に国籍を付与しています。

ア 血統主義

自国民の親の子に自国籍を与えます。

たとえば,日本人から生まれた子には日本国籍が与えられます。出生の時に父または母が日本国籍者であればその子はまた日本国籍を持ちます。(国籍法2条1項1号・2号,3条)
血統主義の補充修正として生地主義を採用しています。子が日本で生まれて両親が不明の場合などには,その子は日本国籍を取得します。(国籍法2条1項3号)

イ 生地主義

自国の領域で生まれた子に自国籍を与えます。たとえば,アメリカ合衆国ではアメリカ合衆国内で生まれた子にはアメリカ国籍が与えられます。

(3)帰化
ア 普通帰化

出生後に自由意思によって日本国民でない者が,日本国籍を取得することを帰化と呼んでいます。(国籍法5条)

イ 簡易帰化

日本と一定の縁がある者に対して,帰化の条件を緩和したもの。(国籍法6条から8条)

ウ 大帰化

日本に特別な功労がある外国人に対して帰化の要件にかかわらず国会の承認のもとに帰化を認めるもの。(国籍法9条)

2.重国籍・無国籍の発生

(1)重国籍の発生

生地主義を取る国で血統主義の国の国籍を持つ者の子として生まれた場合,その子は出生地の国籍と親の国籍を同時に取得します。
父母の国籍が違っていて,それぞれの国が血統主義を採用している場合にも重国籍となります。

(2)無国籍の発生

血統主義を取る国で生地主義を取る国の国籍を持つ者の子として生まれた場合,その子は無国籍者となります。
無国籍者はどの国の保護も受けられないという状態に陥り,望ましくありません。日本でも無戸籍状態を避けるために血統主義を生地主義によって補完しています。(戸籍法2条3号)

3.国籍選択制度

日本の国籍法は重国籍に対しては否定的な立場であると言われます。重国籍が望ましくないとしても,重国籍を防ぐのは難しいものです。
いったん生じた重国籍状態を解消するための制度として国籍選択制度があります。

(1)国籍の選択が必要な者および選択の時期(国籍法14条1項)
ア 国籍の選択が必要な者

自分の志望によらないで日本人が外国籍を取得した者です。国籍の選択が必要になる者は,おもに出生によって外国籍を取得場合に発生します。

イ 国籍の選択の時期

国籍の選択は重国籍になった時期が20歳未満の場合には22歳になるまでに。20歳以降に重国籍になった場合には2年以内に国籍を選択する必要があります。つまり,成人である20歳以降において重国籍解消のための考慮期間が2年間与えられていると言うことです。

(2)日本国籍を選択する方法(国籍法14条2項)
ア 外国国籍を離脱する方法

外国籍を離脱する方法はその外国の国籍法上の定めにしたがって手続きをする必要があります。
戸籍法に従い,外国国籍をもつ日本人が外国籍を離脱したときは1ヶ月以内に届け出,その外国が発行する「国籍喪失許可証」を提出する必要があります。(戸籍法106条)

イ 選択の宣言とともに日本の国籍を選択する方法

戸籍法の定めるところにより日本国籍を選択するとともに,外国の国籍を放棄するとの旨の宣言をすることによって日本国籍を選択します。
この方法は,重国籍となっている外国の国籍上においてその国籍の離脱が認められないなどの場合における便宜的な取扱いです。
戸籍法にしたがい届け出なければなりません。この届け出を受けて,選択の宣言がなされた旨が戸籍に記載されます。(戸籍法104条の2)。

(3)重国籍状態解消の実効性を支える制度
ア 選択の宣言をした場合の外国籍離脱の努力義務(国籍法16条1項)

上記3(2)イの選択の宣言によって日本国籍を選択する方法では,重国籍の状態は事実上継続しています。
そこで,選択の宣言をした日本国民は外国籍の離脱に努めることが義務づけられています。

イ 国籍選択時期に選択しない者に対する国籍の選択の催告

①上記3(1)イの国籍選択時期までに国籍を選択しない者に対して法務大臣は国籍の選択を促すことができます。(国籍法15条1項)
②催告を受けた重国籍者は,催告を受けた日から1ヶ月以内に日本の国籍を選択しない場合には日本国籍を失う。(国籍法15条3項)

4.まとめ

蓮舫氏が認めているのは下記の点です。
①蓮舫氏は台湾国籍と日本国籍との二重国籍の状態に一時あった
②日本は,台湾当局の「国籍喪失許可証」を認めていないために台湾国籍離脱の方法はとれない
③そこで,「選択の宣言とともに日本の国籍を選択する方法」で日本国籍を選択した。

蓮舫氏がいつ「選択の宣言とともに日本の国籍を選択する方法」による届け出を行ったかを明らかにしていません。
そしてその時期は蓮舫氏の戸籍に記載がされているはずです。

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jinguuji神宮司行政書士事務所所長
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