夫婦の間の約束は守らなくてもよいという誤解

約束したことは守らなければいけないというのが,契約の一般原則です。ところが,夫婦間の契約は守らなくてよいというのですから,話がややこしくなってしまいます

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1.夫婦間の契約

「夫婦間の約束はいつでも取り消すことができるのだから,約束しても約束しないのと同じだ」と考えている人がいるかもしれません。
たしかに,民法75条では次のようになっています。

(夫婦間の契約の取消権)
第七百五十四条  夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

ここでいう「契約」とは夫婦間の贈与や売買だけでなく,すべての契約を意味しています。

2.取消権の行使

結婚(婚姻)している間であればいつでも,特別な理由(取消原因)なしに約束(契約)取り消すことができます。

さらに,すでに約束が果たされた後(契約履行後)からでも取り消すことが可能です。契約履行前であっても,契約履行後のいずれであっても契約を取り消すことができるのです。

夫婦は当事者ですからそれでもよいとしても,この契約の利害関係者はたまりません。そこで,但し書きとして利害関係者に迷惑をかけてはいけませんよと規定しています。

3.契約取消の弊害

夫婦であるからといって,なんの理由もなしに約束を反故にされるのは納得できないと感じる人が多いと思います。それでも,夫婦仲がうまく言っているときにはお互いを思い合いますから,不都合はそれほどないかもしれません。

しかし,夫婦仲が悪化したときにはお互いの思いやりを期待できなくなります。契約を取り消すことが権利の濫用になることもでてきます。

4.契約の取消しの制限

夫婦間の取消権の規定は,結婚が実質的に破綻している場合には適用がない」と裁判所によって認定されています。夫婦仲が悪くなったときには,約束(契約)を反故にすることはできないことになります。

結婚(婚姻)が実質的に破綻している場合に取り消すことができる契約は
①夫婦関係が悪化した時期におこなった契約だけではなく
②夫婦関係が良好な時期におこなった契約でも
取り消せなくなることにも注意が必要です。

5.まとめ

夫婦関係が悪化すれば,たちまち「約束は守らなければならない」ことになります。ですから,夫婦間の約束でも約束は約束だと観念しておいた方が間違いがありません。
もしも,たいへんな約束をしてしまったなら,夫婦仲が悪くならないように努力しなければなりません。

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投稿者プロフィール

神宮司 公三
神宮司 公三神宮司行政書士事務所所長
山梨県甲府市の特定行政書士。守秘義務がありますので相談したことが外部に漏れることはありませんので,安心してご相談ください。幅広い範囲のお困りごとに対応しています。お気軽にお問い合わせください。遺言書作成,相続手続の相談,官公署への許認可の相談・申請手続き代理,任意後見・法定後見のご相談,ご契約についてのご相談など。

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