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Q1:任意後見制度とはどのような制度ですか?

Q2:任意後見契約公正証書の作成に必要な費用は?

Q3:任意後見契約を締結しましたが、途中で解除はできますか?

Q4:任意後見人の基本的な仕事はどのようなものですか?

Q5:任意後見制度はどのような人が利用するのですか?

Q6:任意後見契約を結んでいます。後見監督人選任申立てのタイミングの判断は?

 

A1:任意後見制度とは

 本人(委任者)が判断能力がある間に、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自ら代理人(任意後見人)を選任し、その任意後見人に権限を付与する制度です。自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。任意後見契約が締結されると東京法務局に登記がなされます。この契約は、任意後見監督人が選任された時から契約の効力が生じる制度です。

A2:公正証書作成に必要な費用

基本料金
 公正証書作成の基本手数料 11,000円
 登記嘱託手数料       1,400円
 登記所に納付する印紙代   2,600円
 その他          本人等に交付する正本等の証書代
              登記嘱託書郵送用切手など

A3:任意後見契約の途中解除

 公証人の認証を受けた書面によって解除ができます。合意解除の場合は、合意解除書に認証を受ければ解除の効力が発生します。
 当事者の一方からの解除は、解除の意思表示した書面に公証人の認証を受けます。公証人の認証を受けた事実と任意後見契約解除する意思を記載した内容証明を相手方に送付して、その旨を通告することが必要です。

A4:任意後見人の仕事

 本人の財産管理・・・具体的には、自宅等の不動産や預貯金等の管理、税金や公共料金の支払等です。
 介護や生活面の支援(手続等)・・・具体的には、要介護認定申請手続、介護サービス提供機関との契約の締結、介護サービス費用の支払い、入院の手続、入院費用の支払等です。
 上記のように、任意後見人の仕事は財産管理を行い、介護や生活面の支援をおこないます。なお、任意後見人自ら、掃除をしたり介護をするという事実行為をするのではなく、介護・福祉サービスが受けられるよう手配をおこなうことが職務の範囲です。

A5:任意後見制度を利用している人の具体的事例

 1.配偶者も子供もいない独居高齢者(70代男性)
  ①ヘルパーの助けを得て、自宅にて健康的な生活を送っていたが、自宅で転倒骨折。
  ②大手企業を退職、年金生活。ほとんどの退職金が残っている。
  ③将来的に他者の助けなく生活をすることに不安を感じ、第三者の支援を希望。
 2.子供がいない初老のご夫婦(60代)
  ①戸建て(持ち家)居住、現金資産あり。
  ②賃貸家屋を所有、賃料収入あり。
  ③夫婦とも健康だが、将来に不安。任意後見に関心がある。
 3.知的障がいの子を持つ未亡人(50代女性)
  ①中学生の長男(障がいをもつ)と高校生の長女との3人で賃貸マンション暮らし。
  ②資産は、夫の死亡退職金と多額の死亡保険金あり。
  ③子らの将来に不安を感じ、第三者の支援を希望。
 4.子供はいるが、配偶者がいない高齢者(70代男性)
  ①戸建て(持ち家)独居。海外勤務の一人息子がいる。
  ②年金収入があり、預貯金もある。現状生活に困っていない。将来も金銭的不自由はない。
  ③持病(糖尿病、心不全)があるため将来が不安で、認知症が心配。任意後見契約を希望。
 5.婿養子として入った会社社長(事業承継を考えている60代男性経営者)
  ①中小企業(製造業)のオーナー。息子に事業を継がせたいと考えている。
   2年前に脳梗塞をおこし、救急車で運ばれた経緯あり。飲酒が多い。
  ②資産は、養親からの相続財産を含め多額にあり、銀行からの借入金も相当額あり。
  ③妻(50代)が、将来に対しとても不安に思っている。妻の身体はいたって健康である。
   将来のため任意後見を検討。

A6:任意後見監督人選任申立てのタイミング

 精神上の障がいにより、本人の事理を弁識する能力が不十分な状況になった場合は、受任者は遅滞なく申し立てる必要があります。まずは、医師の診断書をもらいましょう。
 申立てにあたっては、ケアマネージャー、ヘルパーなどの方々の意見を聞くとともに、本人とよく話し合い、本人の同意を必ず得て申し立てる必要があります。タイミングを見誤って、法廷後見になってしまうことがないように気をつける必要があり、また、なおざりにして民法上の契約のまま仕事をしていると損害賠償の事態も考えられます。

 判断能力が低下したときのために任意後見契約を結ぶとともに、通常の委任契約及び死後の事務委任契約を結ぶことができます。委任契約・死後事務委任契約の内容は、契約時に取り決めます。
通常の委任契約とは、生活、療養看護及び財産を管理する事務の委任です。
 例えば、金融機関、郵便局等の取引に関する事項(預貯金の管理・振込み・払戻し・解約等)、病院との入院・医療契約、福祉サービス利用契約、施設入退所契約等、居住用不動産の購入、賃貸借契約等です。
死後事務委任契約とは、死亡届、葬儀、埋葬等に関する事務、医療費、施設利用費の精算、その他身辺の整理、年金関係等の各種届出に関する事務です。

*この記事は月刊「日本行政」(日本行政書士会連合会の機関誌)のNo.540,541平成29年11月・12月号の記事に基づいています。

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